セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

小腸-症例 1

タイトル 外P-461:

術前診断に難渋した巨大小腸腸間膜神経鞘腫の1例

演者 西原 佑一(国立東京医療センター・外科)
共同演者 松永 篤志(国立東京医療センター・外科), 川口 義樹(国立東京医療センター・外科), 徳山 丞(国立東京医療センター・外科), 大住 幸司(国立東京医療センター・外科), 浦上 秀次郎(国立東京医療センター・外科), 石 志紘(国立東京医療センター・外科), 島田 敦(国立東京医療センター・外科), 大石 崇(国立東京医療センター・外科), 磯部 陽(国立東京医療センター・外科), 松本 純夫(国立東京医療センター・外科)
抄録 症例は72歳女性.2012年10月頃に下腹部痛を自覚し当院受診.尿路結石の疑いで入院・精査が行われた.腹部CTでは尿路結石の他に,長径約9cmの境界明瞭・辺縁円滑で一部石灰化を伴う骨盤内巨大腫瘤を認め,腹部MRIではT1WIで低信号,T2WIで高信号を呈する多房性嚢胞性腫瘤を認めた.小腸GISTなどの間葉系腫瘍,リンパ管腫なども鑑別に挙がったが,年齢・性別を考慮して卵巣腫瘍の疑いで産婦人科紹介となり,手術の方針となった.
腫瘍は小腸腸間膜から発生した長径10cm超の腸間膜腫瘍であり,両側付属器は正常であった.腫瘍切除では腸管血流の確保が困難であり,50cm程度の小腸部分切除を要した.手術時間は2時間10分,出血は極少量であった.
肉眼的に腫瘍は大小の嚢胞性成分を有する病変で,一部充実様成分が見られた.病理組織学的には,楕円~紡錘形の核を有する細胞が束状,あるいは柵状配列を呈して増生する細胞密度の濃い部分と浮腫状の間質を背景にする細胞密度の粗な部分が認められた.免疫組織化学染色ではc-kit(-),CD34(-),CD68(-),Desmin(-), SMA(-), S-100(+)を示すことから腸間膜神経鞘腫と判断した.Ki-67 indexは約5%であった.術後経過には問題なく,術後8日目に退院した.
腸間膜原発の神経鞘腫は非常にまれであり,術前に確定診断を付けることは困難であるとされている.診断的治療として外科的切除が第一選択とされているが,悪性腫瘍である可能性も考慮して治療方針を決定すべきと考えられる.本症例でも術前診断は付かなかったが,術前診断の方法,治療方法に関し文献的考察を加えて報告する.
索引用語 神経鞘腫, 腸間膜