セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

小腸-症例 1

タイトル 外P-464:

柿胃石嵌頓による小腸イレウスの1例

演者 藤井 研介(城山病院)
共同演者 川崎 浩資(城山病院), 新田 敏勝(城山病院), 石橋 孝嗣(城山病院)
抄録 症例は58歳男性,40歳時に虫垂切除術,また約3年前に腸閉塞の診断で,保存的加療を受けた既往がある.今回,心窩部痛を主訴に近医受診,点滴加療を受けたが症状の改善なく,当院消化器内科を受診された.腹部CTで,骨盤内小腸に占拠する含気性塊状腫瘤を認め,同部口側の小腸は著明に拡張していた.炎症反応は高値であったが(CRP:26.81,WBC:9300),腹膜刺激症状はなく,入院のうえイレウス管を挿入し,保存的加療が開始された.第5病日のイレウス管造影では,小腸内容液の粘稠のためか閉塞起点までの造影に至らず,またイレウス管排液の減量傾向もなく,保存的加療による症状改善は困難と判断され,外科紹介となり,第6病日手術を施行した.開腹時,腹水の貯留はなく,また腹腔内には明らかな癒着も認めなかった.拡張した小腸を追究したところ,回腸末端から210cm口側の小腸内に5cm大の腫瘤が容易に同定され,口側小腸は著明に拡張し,浮腫状を呈していた.同腫瘤は可動性なく,また肛門側小腸には拡張なく,閉塞起点となる明らかな病変は認めなかった.このため同腫瘤停留により生じたイレウスと判断した.拡張腸管には明らかな虚血性変化はなく,腫瘤肛門側の小腸間膜対側に全層切開を加え,内腔を確認するとともに,腫瘤を除去し,縫合閉鎖した.摘出した腫瘤は俵状,大きさ53x35x32mm,重さ34gで,表面は黒色,割面は茶色であった.結石分析でタンニン98%以上であり,また術後の問診で,約2年前に柿を大量に食べたことを聴取し,柿胃石嵌頓によるイレウスと最終診断した.術後,麻痺性イレウスを併発し,長期間の食事療法を余儀なくされたが,その他合併症なく,術後24日目に軽快退院となった.胃石による小腸イレウスは,比較的まれな疾患であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 柿胃石, 腸閉塞