セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

小腸-症例 1

タイトル 外P-465:

自然整復が疑われたイレウス管が誘因と考えられる腸重積症の3例

演者 北原 弘恵(昭和伊南総合病院・外科)
共同演者 宮川 雄輔(昭和伊南総合病院・外科), 唐澤 幸彦(昭和伊南総合病院・外科), 森川 明男(昭和伊南総合病院・外科), 織井 崇(昭和伊南総合病院・外科), 川上 聡(信州大・放射線科)
抄録 【はじめに】イレウス管は腸閉塞の保存的治療に広く用いられているが,イレウス管が誘因となって腸重積症を発症することが稀にあり,多くは外科的治療を必要とする.今回,術前CTにて腸重積の所見が得られた為,開腹手術を行うも確認されず自然整復が疑われた3症例を経験したので報告する.【症例1】91歳,男性.膵頭十二指腸切除術の既往あり.腸閉塞に対してイレウス管留置歴あり.今回,腸閉塞で入院し,イレウス管留置にて腸閉塞は改善傾向であった.3日後発熱を認め,CT撮影したところ回腸に腸重積症を認め,開腹手術を行った.回腸の壁肥厚と色調変化を認めたが腸重積は確認されなかった.【症例2】66歳,男性.虫垂切除術の既往あり.腸閉塞の診断にて入院.胃管留置,高気圧酸素療法を行ったが改善なく,2日後イレウス管を挿入した.イレウス管自己抜去,再挿入を繰り返していた.入院7日後発熱とともにDICを発症,CTにて十二指腸水平脚から空腸にかけて腸重積の所見を認めた.開腹手術をおこなったが腸重積は確認されず閉腹した.【症例3】74歳,男性.虫垂切除術の既往あり.今回,悪性リンパ腫加療目的で入院したが,腸閉塞を発症し,イレウス管挿入した. 2日後腸閉塞は改善し,イレウス管を抜去したが,その2日後腹部膨満感が出現,CTにて空腸の腸重積及び回腸にリンパ腫による狭窄を認め,翌日開腹手術を行った.回腸にリンパ腫に伴う狭窄部を認めたが腸重積は確認されなかった.【結語】イレウス管留置が成人腸重積症の誘因とする報告は少ない.イレウス管先端のバルーンが関与したtelescope現象などがその原因と考えられている.外科的治療を要する場合が多く保存的治療は稀である.今回,イレウス管留置が誘因と考えられる腸重積症3例を経験したが,いずれも開腹時,腸重積は解除されており,自然整復されたと考えられた.
索引用語 腸重積, イレウス管