セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

小腸-症例 2

タイトル 外P-467:

特発性膣壁破裂による小腸脱出を来した一例

演者 黒川 友晴(日本大・消化器外科)
共同演者 高山 忠利(日本大・消化器外科), 青木 優(日本大・消化器外科), 山崎 慎太郎(日本大・消化器外科), 北條 暁久(日本大・消化器外科), 蛯澤 記代子(日本大・消化器外科), 金本 彰(日本大・消化器外科), 大亀 浩久(日本大・消化器外科)
抄録 [緒言]膣壁破裂による小腸脱出は,子宮内操作の既往や,子宮,膣の手術の既往があるものが報告され緊急手術の適応である.[症例]90歳 女性 以前より子宮脱を繰り返していたが,高齢のため経過観察となっていた.排便時の急激は下腹部痛に続き,会陰より腸管が脱出していることに気づき,救急外来受診した.会陰に翻転し乾燥した膣壁を認め,膣の後壁より約70cmの小腸の脱出が確認された.脱出した小腸には壊死所見はないが,著明な発赤,浮腫を認めた.以上より膣壁破裂による小腸脱出と診断し,同日緊急手術を施行した.開腹所見では,トライツ靭帯から約3m30cmの回腸が70cm程度,膣壁から体外に脱出していた.脱出した小腸は汚染が著しく脆弱であったため,体外でGIAを用いて一時切除し,腹腔内に還納した後に健常な回腸同士を吻合した.膣後壁には約2cm大の欠損孔を認め,膣壁は体外より翻転し,全層縫合で修復し還納した.術後合併症は特に認めず,術後第10病日,軽快退院した.[考察]膣壁破裂による小腸脱出は,子宮内操作の既往や,子宮,膣の手術の既往があるものに多いとされ,現在医中誌で7件,pub med で5件報告されており,そのうち7例が手術の既往がある症例であった.本症例は子宮や膣,腹腔内の手術の既往がないのにもかかわらず,膣壁の破裂により小腸脱出を来し特発性に分類される症例であった.その原因としては,子宮脱を恒常的に繰り返されたため,膣壁が乾燥し菲薄化した結果穿孔に至ったと考えられた.子宮脱は手術治療が有効な手段であり,本症例では予防的手術が行われれば,腸管脱出には至らなかったと考えられる.[結語]子宮脱は高齢であっても可能な限り手術治療すべきである.
索引用語 小腸脱出, 膣壁破裂