セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

小腸-症例 2

タイトル 外P-469:

粘液性嚢胞腺腫を認めた空腸異所性膵の1例

演者 大島 秀紀(同樹会苫小牧病院)
共同演者 筒 完(同樹会苫小牧病院), 上村 恭一(同樹会苫小牧病院), 平田 公一(札幌医大・1外科)
抄録 症例:50歳台,女性.主訴:下血,貧血.現病歴:2012年4月頃より,黒色便,労作時の胸苦を自覚.近医を受診し鉄欠乏性貧血,消化管出血の疑いで当院へ紹介受診,入院となった.入院時検査所見では,Hb6.6g/dl,血清鉄15μg/dlと高度の貧血,鉄欠乏を認めたが,その他の生化学検査および腫瘍マーカーに異常所見は認めなかった.腹部CT:トライツ靱帯よりやや肛門側回腸に35mmの嚢胞性病変を認めた.FDG PET/CT検査:トライツ靱帯よりやや肛門側回腸に36mmの嚢胞性病変を認め,MaxSUV=3.24のFDG集積を認めた.以上より術前診断は空腸壁外性の粘膜下腫瘍として診断的治療として手術治療の方針とした.手術所見:トライツ靱帯近くの空腸近位部に壁外性,多房性の腫瘍を認め,腹腔鏡下空腸部分切除により腫瘍を摘出した.病理組織検査結果:小腸粘膜下にHeinlich2型に相当する異所性膵に一部粘膜面に露出する25mmの嚢胞性病変を認め,嚢胞内腔は粘液を有する高円柱状の上皮におおわれ,嚢胞壁は短紡錘状の細胞を含む間質のおおわれた粘液性嚢胞腺腫の発生像と考えられた.術後経過:術後4日目より経口摂取を開始し,合併症無く術後17日目に退院した.迷入膵は胃,十二指腸など上部消化管に好発する疾患で,空腸に発生することは比較的まれである.今回,下血による貧血を主訴とした空腸迷入膵を発生母地としたきわめてまれな粘液性嚢胞腺腫の1 例を経験したので報告する.
索引用語 異所性膵, 粘液性嚢胞腺腫