セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

小腸-症例 2

タイトル 外P-472:

腹腔内遊離ガスを伴った腸管気腫症を契機に発見された皮膚筋炎患者に発症した小腸悪性リンパ腫の1例

演者 山崎 誠司(国立高知病院・外科)
共同演者 森下 敦司(国立高知病院・外科), 福山 充俊(国立高知病院・外科), 井川 浩一(国立高知病院・外科), 大塚 敏広(国立高知病院・外科), 松森 昭憲(国立高知病院・リウマチ科), 岩原 義人(国立高知病院・内科), 成瀬 桂史(国立高知病院・臨床検査科)
抄録 【目的】自己免疫性疾患である皮膚筋炎(Dermatomyositis)の患者には,悪性腫瘍を合併もしくは発症することが多いとされている.今回,我々は腹腔内遊離ガスを伴った腸管気腫症を契機に発見された,皮膚筋炎患者に発症した小腸悪性リンパ腫の症例を経験したので報告する.【症例】症例は50歳代の女性.1年前に皮膚筋炎と診断され当院外来通院加療中で,ステロイド,免疫抑制剤内服中であった.12月下旬頃から39度台の発熱が1週間ほど続いた.腹痛もなく解熱はしたが翌年の1月に当院外来受診し,右下腹部に圧痛を指摘された.同日のCT検査で腹腔内遊離ガスを伴った右側結腸の腸管気腫症を指摘され,合わせて右骨盤底に小腸壁肥厚を認めた.精査加療目的で同日入院した.数日絶食で様子をみたが症状増悪無く,食事再開した.再検したCT検査で小腸壁肥厚に変化なく,悪性疾患も否定できず1月中旬開腹手術を行った.開腹すると少量の淡血性の腹水と骨盤底に可動性不良な10cm大の小腸腫瘍を認め,回盲部腸間膜に浸潤していた.その他にも触診上,計3ヶ所の小腸腫瘍を認めた.1ヶ所はトライツ靭帯から5cm程度の部位にあり,他の腫瘍とは離れていた.腫瘍を含めて2ヶ所小腸部分切除した.術後経過は良好で1月下旬に退院した.術後の病理検査でびまん性大細胞型B細胞性悪性リンパ腫と診断され,2月中旬より再入院しR-CHOP療法を行っている.【考察】入院時CT検査で認めた腹腔内遊離ガスは腸管気腫症が原因と考えた.入院後もステロイド服用を継続し,食事再開後に待機手術を行い術後経過は良好であった.悪性腫瘍関連筋炎の約80%は筋炎と悪性腫瘍との発症間隔が1年以内で本症例にもあてはまるが,悪性リンパ腫の合併は少なく予後不良と言われる.【結語】皮膚筋炎患者に発症した小腸悪性リンパ腫の症例を経験した.皮膚筋炎は悪性腫瘍を合併しやすく全身検索の際,念頭に置く必要がある.
索引用語 皮膚筋炎, 小腸悪性リンパ腫