セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

小腸-症例 3

タイトル 外P-475:

小腸悪性腫瘍の2例

演者 出口 勝也(京都きづ川病院)
共同演者 大林 孝吉(京都きづ川病院), 上田 英史(京都きづ川病院), 大同 毅(京都きづ川病院)
抄録 小腸悪性腫瘍は稀な疾患である.我々は,原発性小腸癌および転移性小腸癌の2例を経験したので報告する.【症例1】70代男性.腹痛で当院を受診し,精査にて小腸イレウスと診断した.腹部Computed Tomography(CT)にて回腸に腫瘍性病変を認めた.イレウス管留置にて減圧をはかったうえで,腹腔鏡下に病変を確認し,小腸部分切除術を施行した.術後施行したPositron Emission Tomography (PET)-CTでは明らかな高集積部位は認めなかった.病理組織診断は高分化型腺癌で,免疫染色はサイトケラチン(CK)7(-),CK20(+)で,原発性回腸癌と診断した.心筋梗塞,脳梗塞の既往があり,繰り返す誤嚥性肺炎を認めたため,化学療法は施行せず経過観察していたが,現在は腹膜再発に対してmFOLFOX6療法を施行している.【症例2】70代女性.腹痛で当院を救急受診し,腹部CTで小腸腫瘍を疑われ入院となった.翌日,腹痛が増強し,筋性防御が出現した.腹部CTで腹腔内遊離ガス像を認め,小腸腫瘍の穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.開腹下に小腸切除術を施行した.病理組織診断は転移性腺癌で,免疫染色はCK7(+),CK20(-)で,PET-CTで肺癌による小腸転移と診断した.転院し,カルボプラチン・パクリタキセル療法を施行した.【考察】本邦において,小腸悪性腫瘍は剖検1,000例当り19.7例で,そのうち原発癌1.2例,転移癌13.2例,原発肉腫1.1例,転移肉腫2.1 例で,転移癌が非常に多いとの報告がある.また,小腸悪性腫瘍は腹痛,嘔気などのイレウス症状を呈した比較的進行した状態で発見されることが多いが,出血による貧血,腸重積や,穿孔による腹膜炎症状で発症することもある.診断に難渋することもあるが,原発・転移を考慮した診断にはPET-CTなどの画像検索を含めた臨床像や病理組織像のほか,CK7,CK20などを用いた免疫組織化学的手法を用いて総合的に診断を行い,それらの診断に応じた集学的治療が重要であると考えられた.
索引用語 小腸腫瘍, 免疫染色