セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-その他 1

タイトル 外P-482:

緩和治療目的に大腸ステントを留置した16例の検討

演者 幡野 哲(埼玉医大総合医療センター・消化管・一般外科)
共同演者 松澤 岳晃(埼玉医大総合医療センター・消化管・一般外科), 隈元 謙介(埼玉医大総合医療センター・消化管・一般外科), 熊谷 洋一(埼玉医大総合医療センター・消化管・一般外科), 馬場 裕之(埼玉医大総合医療センター・消化管・一般外科), 石橋 敬一郎(埼玉医大総合医療センター・消化管・一般外科), 芳賀 紀裕(埼玉医大総合医療センター・消化管・一般外科), 石田 秀行(埼玉医大総合医療センター・消化管・一般外科)
抄録 遠隔転移を伴う閉塞性大腸癌や,他臓器癌の浸潤・再発による大腸閉塞に対して,従来は姑息的に人工肛門造設をはじめとする開腹手術が行われてきた.しかし手術を行うことで化学療法の開始・継続が滞ってしまうことや,終末期の患者が人工肛門管理を行わなければならないことなど問題点もあった.2012年,悪性大腸狭窄に対する大腸ステント留置術が保険収載され状況が変化した.当科では,保険収載以降2013年3月までに24例に対しての大腸ステント留置術を施行した.このうち緩和治療目的に施行した16例の短期成績について検討した. 16例の年齢は中央値74歳(49-88歳)で,閉塞部位は全て横行結腸の左側から直腸までの左側結腸であった.留置時間は中央値44分(10-120分)で,留置成功率は93.8%(15/16)であった.挿入できなかった1例は子宮体癌再発症例で.S状結腸に狭窄があり,直腸にも壁外性の圧迫あり,狭窄部の正面視が困難であった.穿孔等の留置時合併症は認めなかった.臨床的成功率は93.3%(14/15)であった.不成功の1例はS状結腸癌の腹膜播種症例で,ステントは展開したが,良好な便通が得られなかった症例で,後日開腹手術を施行したところS状結腸癌回腸浸潤を認め回腸人工肛門を造設した.ステント留置症例の経口摂取再開率は92.9%(13/14).経口摂取の再開が出来なかった1例は排便が良好となり腹部膨満が改善したが,原病による状態の悪化のため術後早期に永眠された症例であった.留置後の合併症はstool impactionを20%(3/15)に認めたが,全例cleaningで改善した.再狭窄,逸脱,出血等の合併症は認めなかった.6例でステント留置後速やかに化学療法を導入した.術後入院期間は6日(2-21日)であった. 緩和治療としての大腸ステントは,安全性も高く,人工肛門造設を含む姑息的な手術を回避でき,早期に化学療法が施行できるため実地臨床における低侵襲な治療法と思われる.
索引用語 大腸ステント, 大腸狭窄