セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-その他 2

タイトル 外P-485:

ESD穿孔後に腹腔鏡下大腸切除術を施行した大腸癌4症例の検討

演者 竹中 芳治(聖マリアンナ医大東横病院・消化器病センター)
共同演者 佐々木 貴浩(聖マリアンナ医大東横病院・消化器病センター), 星野 博之(聖マリアンナ医大東横病院・消化器病センター), 福岡 麻子(聖マリアンナ医大東横病院・消化器病センター), 佐々木 大祐(聖マリアンナ医大東横病院・消化器病センター), 宮島 伸宜(聖マリアンナ医大東横病院・消化器病センター), 大坪 毅人(聖マリアンナ医大東横病院・消化器病センター)
抄録 【はじめに】大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は,手技的難易度が高く,合併症としてある一定の頻度で穿孔が起こりうる.また,大腸穿孔に対する治療は外科的治療が一般的とされ,しばしば緊急開腹下に洗浄ドレナージ術や人工肛門造設術が施行されてきた.近年では内視鏡的治療による穿孔例に対して保存的治療を選択する報告も散見される.ESD穿孔後に腹腔鏡下大腸切除術を施行した大腸癌症例の治療と臨床経過について検討した.【対象】当院および近隣の他院消化器内科において大腸癌に対して施行されたESD症例で,施行中あるいは直後に医原性穿孔と診断され当科緊急入院となった後に,腹腔鏡下大腸切除術が施行された4症例について検討した.ただし,ESD穿孔の定義についての見解は未だ一様ではないため,ここでは腹部骨盤CTで,多寡を問わず腸管外ガス像を認めた症例とした.【結果】4症例全てで穿孔後に絶食,補液,抗生物質投与による保存的治療が選択され軽快していた.穿孔時の腹部所見は,全例で軽度であり腹膜刺激症状を呈するものはなく,腹部骨盤CT所見では,ESD施行部位近傍の後腹膜あるいは腸間膜内に比較的限局したガス像の散在を認めるものの,大量の遊離腹腔内ガスや膿瘍形成を呈するものはなかった.ESD未完遂あるいはESD標本病理診断から全例が外科的切除の適応となったが,待機的な腹腔鏡下大腸切除術が可能であった.また,穿孔後に特異的と思われる術中所見や術後経過を呈することもなかった.【結論】大腸ESD穿孔例は,消化器内科医による治療適応の決定,ESDの手技,穿孔発生時の処置が適切であれば,穿孔後の重篤化は低率と思われ,保存的治療が可能である.ESDで病変の完全切除に至らなかった場合や,ESDの標本病理診断により外科的追加切除あるいはリンパ節郭清が必要と判断された場合でも,待機的な腹腔鏡下大腸切除術が多くの場合で可能と思われた.
索引用語 ESD穿孔, 腹腔鏡下大腸切除術