セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-その他 2

タイトル 外P-486:

当院における大腸穿孔症例の検討

演者 高須 香吏(信州大・消化器外科)
共同演者 石曽根 聡(信州大・消化器外科), 奥村 征大(信州大・消化器外科), 竹内 大輔(信州大・消化器外科), 荻原 裕明(信州大・消化器外科), 鈴木 彰(信州大・消化器外科), 宮川 眞一(信州大・消化器外科)
抄録 【目的】結腸・直腸穿孔は消化器外科領域の中でも緊急性が高く,早期手術や集中治療を行っても今なお死亡率が高い疾患の一つである.我々は当院で経験した大腸穿孔症例を評価した.【方法】2004年から9年間で手術を行った大腸穿孔例27例を対象とし,背景因子と治療成績を検討した.【成績】内訳は男性11例,女性16例で,平均年齢は71(27~91)歳だった.穿孔部位はS状結腸16例,上行結腸6例,直腸4例,下行結腸2例,横行結腸1例(重複あり)だった.原因としては憩室穿孔が10例,特発性が6例と多く,その他,悪性腫瘍,潰瘍,宿便,医原性,虚血,外傷によるものだった.基礎疾患として自己免疫性疾患が8例と多く,その全例でステロイドの長期投与が行われていた.他,心疾患,悪性腫瘍,精神疾患の併存がみられた.穿孔から手術までの時間は,24例が24時間以内で,2例は数日間の保存的加療の後に手術となった.残りの1例は穿孔時期不明だった.手術はハルトマン手術が18例と最も多く,次いで穿孔部切除+吻合が4例,穿孔部の単純閉鎖が2例,人工肛門造設のみが2例,直腸切断術が1例だった.術前敗血症性ショックの合併は7例であり,術前のAPACHEIIスコアは,20以上が3例,15以上20未満が5例だった.術後人工呼吸器管理を要した13例のうち,循環動態が不安定だった9例にPMX-DHPを併用した.術後合併症は17例(65%)に認められ,そのうち重篤な合併症は7例(25.9%)だった.内訳は多臓器不全,ストマ壊死,たこつぼ型心筋症がそれぞれ1例と腹腔・骨盤内膿瘍4例だった.27例中26例で救命に成功した.死亡の1例は腹部大動脈瘤破裂に対する緊急手術後,血流障害による腸管虚血壊死による穿孔であり,穿孔時期が不明確で,術後48日目に多臓器不全にて死亡した.集中治療の要否や重篤な合併症に関し,有意な因子は特定できなかった.【結論】当院における大腸穿孔症例に対する治療成績は,死亡率は3.7%と良好な成績だった.要因としては約90%に可及的速やかな外科手術が施行されたことが考えられた.
索引用語 大腸, 穿孔