セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-術後合併症 1

タイトル 外P-498:

当センターにおける腹腔鏡下低位前方切除術の直腸切離・吻合手技の変遷と縫合不全の検討

演者 日高 英二(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
共同演者 石田 文生(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 向井 俊平(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 中原 健太(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 竹原 雄介(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 和田 陽子(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 田中 淳一(昭和大横浜市北部病院・消化器センター), 工藤 進英(昭和大横浜市北部病院・消化器センター)
抄録 【背景・目的】腹腔鏡下低位前方切除術における最大の合併症は縫合不全である.今回われわれは,腹腔鏡下低位前方切除術における直腸の切離・吻合に着目して,当センターでの手技の変遷とその手技の変化が縫合不全防止に影響したかどうかを明らかにする.【対象・方法】2003年から2010年までを前期群(n=174),2011年以降を後期群(n=68)とし,それぞれの時期の手技を提示し,それらの縫合不全率を比較検討した.【結果】前期群は,直腸の切離・吻合に開腹用の自動縫合器を使用した.小開腹創を手袋で覆い気腹を保ちながら開腹手術用自動縫合器を挿入して鏡視下に腫瘍のやや肛門側を縫合閉鎖し,その後肛門よりイソジン生食で直腸内を洗浄後,同様に小開腹創(約4~5cm)から2本目の縫合器(Curved Cutter®)を挿入し1本目の縫合線よりやや肛門側にかけ直腸を切離する.直腸に直行する1本の縫合線で切離され,stapleの重なりがなく安全な吻合が可能と考えていた.後期群は,腹腔鏡用自動縫合器を使用する切離法に変更した.これは縫合器の進歩と小開腹創をさらに縮小させようと試みたためである.右下腹部の12mmのトロッカーより着脱式腸管クランプ鉗子を挿入し,直腸をクランプし直腸内を洗浄後,腹腔鏡用自動縫合器を挿入して直腸を1回または2回のfireで切離する.2回で切離した場合はstapleの交点を確実にうちぬけるように心がける.さらに吻合後は必ずair leak testを施行し,leakのないことを確認し,28Frマレコカテーテルを経肛門ドレーンとして留置する.縫合不全率は,前期群は9.7%,後期群は4.4%と後期群で減少し,さらに前期群は縫合不全症例の47%は腹膜炎で術後緊急で人工肛門造設を施行したが,後期群は,縫合不全例はすべて保存的に経過し緊急手術症例はなかった.【結語】直腸の切離法を変え,経肛門ドレーンを留置することにより縫合不全の減少が認められた.
索引用語 腹腔鏡下低位前方切除, 縫合不全