共同演者 |
村上 雅彦(昭和大・消化器・一般外科), 渡辺 誠(昭和大・消化器・一般外科), 小澤 慶彰(昭和大・消化器・一般外科), 松井 伸朗(昭和大・消化器・一般外科), 藤森 聡(昭和大・消化器・一般外科), 榎並 延太(昭和大・消化器・一般外科), 青木 武士(昭和大・消化器・一般外科), 加藤 貴史(昭和大・消化器・一般外科) |
抄録 |
【はじめに】大腸癌手術において近年鏡視下手術の技術向上に伴い手術侵襲が軽減したことによる短期成績の向上がめざましい. 一方で周術期の感染性合併症の頻度は必ずしも減少していない. 感染性合併症が周術期経過に影響を与えるのは明らかであるが, 患者の予後や再発の頻度に与える影響は明らかではない. 【目的】当教室での進行大腸癌術後患者において, 術後の感染性合併症が予後および再発に与える影響を検討した.【方法】2003年2月~2009年6月までに当教室で手術を施行した進行大腸癌患者166例(stageI:64例,II:47例,III:48,IV:7例)を対象とし, 術後の感染性合併症(SSI, remote infection)の有無が3年DFS, 3年OSに及ぼす影響および各stage別の予後に及ぼす影響について, 統計学的手法を用いて検討した.【結果】感染性合併症をきたした症例は全体で11例(6.6%, Deep organ SSI 10例, remote infection 1例)ありstage別内訳ではstageI:II:III:IV=7:3:1:0であった. 感染性合併症をきたした症例はきたさなかった症例と比較し3年DFSで統計学的に有意に予後不良であった(Logrank;p<0.05).また3年OSに関しても感染性合併症をきたした症例は統計学的に有意に予後不良(Logrank;p<0.05)であった. Stage別ではstageIおよびIII, IVにおいては有意差はなかったものの, stageIIでは感染性合併症をきたさなかった44例の3年OSは89%と良好であったのに対し, 感染性合併症をきたした3例は明らかに予後不良であった. 【結論】再発転移や長期予後には様々な因子の関与が考えられるため, 多変量解析による検討が必要であるが, 感染性合併症が進行大腸癌患者, 特にstageII大腸癌患者の予後不良因子の1つとなりうることが示唆された. |