セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
大腸-その他 4
|
タイトル |
外P-511:S状結腸過長症の縦走筋を用いた壁内神経調節機構について
|
演者 |
富田 凉一(日本歯大・外科) |
共同演者 |
藤崎 滋(藤崎病院・外科), 朴 英智(日本歯大・外科), 柴田 昌彦(福島県立医大・腫瘍生体治療学) |
抄録 |
【目的】S状結腸過長症(ESC)の壁内神経調節を明らかにするため,ESCの縦走筋を用いて病態生理学的検討を行った.【方法】対象はESC13症例(男性4例,女性9例,54-70歳,平均64.3歳)であり,対照には早期S状結腸癌20症例(男12例,女性8例,55-76歳,平均62.3歳)の正常部S状結腸を用いた.摘出結腸から粘膜と輪走筋を除去後,長さ15mm(縦走筋方向),幅4mm(輪走筋方向)の縦走筋条片を作製した.そして,筋条片をクレブス液含有organ bath(酸素95%,二酸化炭素5%を通気)内に固定し,電気刺激(EFS)による反応を記録した.EFSは壁内神経刺激のみの条件で行った.交感神経遮断剤はα受容体遮断のフェノキシベンザミンとβ受容体遮断のプロプラノロール(各1x10-7M),副交感神経遮断剤はアトロピン(1x10-7M)を使用した.【成績】1) 交感・副交感神経遮断前EFS反応:対照結腸では収縮反応55%,弛緩反応が45%で,ESC結腸では収縮反応30.8%,弛緩反応69.2%であった.ESC結腸は対照結腸に比較して弛緩反応を多く認めた(p=0.4136).2) 交感・副交感神経遮断後EFS反応:対照結腸では収縮反応[non-adrenergic non-cholinergic (NANC) excitatory nerve を介する]30%,弛緩反応(NANC inhibitory nerveを介する)が70%で,ESC結腸では収縮反応0%,弛緩反応100%であった.ESC結腸は対照結腸に比較して有意に弛緩反応を認めた(p=0.0394).3) 交感・副交感神経遮断前と遮断後のEFS反応の比較:遮断前に比較して遮断後は,対照結腸では弛緩反応(NANC inhibitory nerveを介する)が多かった(p=0.1097).また,ESC結腸でも有意に弛緩反応(NANC inhibitory nerveを介する)を多かった(p=0.0296).【結論】対照結腸とESC結腸の縦走筋壁内神経系には,NANC excitatory nerveとNANC inhibitory nerveの調節が存在した.そして,対照結腸よりESC結腸の縦走筋壁内神経系には有意に後者の調節が強く,運動機能低下を生じると考えられた. |
索引用語 |
S状結腸過長症, 壁内神経調節 |