セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-炎症性疾患

タイトル 外P-512:

潰瘍性大腸炎に対する回腸嚢肛門(管)吻合術後の妊娠・出産例の臨床経過

演者 小菅 経子(横浜市立市民病院・外科)
共同演者 辰巳 健志(横浜市立市民病院・外科), 小金井 一隆(横浜市立市民病院・外科), 黒木 博介(横浜市立市民病院・外科), 二木 了(横浜市立市民病院・外科), 山田 恭子(横浜市立市民病院・外科), 荒井 勝彦(横浜市立市民病院・外科), 杉田 昭(横浜市立市民病院・外科), 福島 恒男(松島クリニック)
抄録 目的:潰瘍性大腸炎(以下UC)の女性患者に対する治療は妊娠適齢期に一致することが多く,手術を含めた種々の治療妊娠・出産に与える影響の検討は重要である.今回,大腸全摘,回腸嚢肛門管吻合または回腸嚢肛門吻合術後の妊娠,出産例について妊娠,出産経過と排便機能の変化を検討した.対象:当院で大腸全摘,回腸嚢肛門管吻合術(以下IACA)または回腸嚢肛門吻合術(以下IAA)を施行したUC症例のうち,術後に妊娠,出産例は11症例(13妊娠)で,UC発症年齢は18.2歳(中央値)(13~29歳),手術時年齢は29歳(中央値)(24~32歳)であり,手術適応は難治7例,重症3例,癌1例で,1期的IACAが5例,2期分割IACAが5例,1期的IAAが1例であった.結果:妊娠例は流産がなく,妊娠中のイレウスを2例に合併し,うち1例には妊娠16週目にイレウス解除術を施行したが,妊娠経過に問題はなかった.分娩方法は経膣分娩6例,帝王切開7例で,帝王切開になった理由は児頭逆位が2例,分娩停止,双角子宮,子宮口の異常がそれぞれ1例,帝王切開後の予定帝王切開2例と全例が産科的理由であった.出生児は男児7名,女児5名(不明1名)であり,出生週数は38.6週(中央値),出生体重は2935g(中央値)(1984~3386g),児の異常は低出生体重児が1例(1984g)(7.6%),心室中隔欠損症が1例(7.6%)であり,11例に異常はなかった.日本での出生数に対する低出生時の割合は9.6%,新生児における心室中隔欠損症の割合は0.3%であり,自験例で後者の頻度が高かった.排便機能は妊娠中のspottingの増加,排便回数の増加をそれぞれ1例に認めたが,出産後は改善した.結語:回腸嚢肛門吻合術,回腸嚢肛門管吻合術術後の潰瘍性大腸炎女性症例では妊娠,出産経過は通常と変わりないと考えられ,通常経膣分娩が可能で排便機能も一時的に変化する症例はあるが分娩後には改善することから,挙児希望例には妊娠,出産を勧めてよいと考えられた.
索引用語 潰瘍性大腸炎, 妊娠・出産