セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-炎症性疾患

タイトル 外P-513:

高齢者潰瘍性大腸炎に対する大腸全摘・回腸嚢肛門吻合術の機能的予後

演者 藤川 裕之(三重大大学院・消化管・小児外科学)
共同演者 荒木 俊光(三重大大学院・消化管・小児外科学), 大北 喜基(三重大大学院・消化管・小児外科学), 橋本 清(三重大大学院・消化管・小児外科学), 近藤 哲(三重大大学院・消化管・小児外科学), 川村 幹雄(三重大大学院・消化管・小児外科学), 井出 正造(三重大大学院・消化管・小児外科学), 小池 勇樹(三重大大学院・消化管・小児外科学), 大竹 耕平(三重大大学院・消化管・小児外科学), 井上 幹大(三重大大学院・消化管・小児外科学), 三枝 晋(三重大大学院・消化管・小児外科学), 廣 純一郎(三重大大学院・消化管・小児外科学), 問山 裕二(三重大大学院・消化管・小児外科学), 小林 美奈子(三重大大学院・先端的外科技術開発学), 大井 正貴(三重大大学院・先端的外科技術開発学), 田中 光司(三重大大学院・消化管・小児外科学), 井上 靖浩(三重大大学院・消化管・小児外科学), 内田 恵一(三重大大学院・消化管・小児外科学), 毛利 靖彦(三重大大学院・消化管・小児外科学), 楠 正人(三重大大学院・消化管・小児外科学DELIMITER三重大大学院・先端的外科技術開発学)
抄録 【背景】大腸全摘・回腸嚢肛門吻合(IAA)は潰瘍性大腸炎に対する根治的な治療で,術後のQOLも高いと報告されている.しかしながら,少なからず排便機能低下が認められることから,特に高齢者ではその再建方法については一定の見解は得られていない.【目的】高齢者潰瘍性大腸炎患者における術後排便機能を明らかにし,術式の妥当性を評価することを目的とした.【方法】2003年1月から2011年12月までに当教室でIAAが施行された潰瘍性大腸炎のうち,直腸粘膜切除が行われ,肛門からの排泄再開後1年以上経過観察された214例を対象とした.手術時年齢60歳以上を高齢者群と定義し,術後1年以降の排便状態として1日排便回数,夜間排便の有無,肛門痛の有無,soilingの有無,パッドおよび止痢剤使用の有無を調査した.また,術前および術後の肛門内圧測定値との関連を検討した.【結果】IAA高齢者群は13例(6.5%)(中央値62歳,60―74歳)であった.高齢者群の平均1日排便回数は非高齢者群との間に有意な差は認められなかった(7.2 vs. 6.6回,p=0.15).その他の術後排便状況のうち,夜間排便を有する患者の割合が高齢者群で有意に多く認められた(76.9 vs. 36.8%,p=0.004).術前および術後の肛門管最大静止圧,機能的肛門管長,最大随意収縮圧は高齢者と非高齢者の間に有意な差は認められなかった.【結論】高齢者潰瘍性大腸炎患者に対するIAAでは直腸粘膜切除を実施した場合,夜間排便を要する症例の割合が増加する以外には有意な肛門機能の低下は来たさないと考えられた.
索引用語 大腸全摘術, 高齢者