セッション情報 | ポスターセッション(消化器外科学会)大腸-炎症性疾患 |
---|---|
タイトル | 外P-514:タクロリムスとインフリキシマブによる潰瘍性大腸炎治療は外科手術例の術後合併症の増加をもたらすか? |
演者 | 高橋 賢一(東北労災病院・大腸肛門病センター) |
共同演者 | 舟山 裕士(東北労災病院・大腸肛門病センター), 生澤 史江(東北労災病院・大腸肛門病センター), 徳村 弘実(東北労災病院・外科), 豊島 隆(東北労災病院・外科), 武者 宏昭(東北労災病院・外科), 西條 文人(東北労災病院・外科), 松村 直樹(東北労災病院・外科), 鈴木 洋(東北労災病院・外科), 武藤 満完(東北労災病院・外科), 安本 明浩(東北労災病院・外科), 又吉 信貴(東北労災病院・外科), 澤田 健太郎(東北労災病院・外科), 柴原 みい(東北労災病院・外科), 千年 大勝(東北労災病院・外科), 望月 保志(東北労災病院・外科) |
抄録 | 【背景】2009年7月にタクロリムス(TAC)が,2010年6月にインフリキシマブ(IFX)が潰瘍性大腸炎(UC)治療に適応承認された.これらの薬剤は病勢コントロールに高い有効性を示す一方で免疫機能を抑え,術後合併症,特に感染性合併症に何らかの影響を与える可能性がある.【対象と方法】2007年から2012年までに大腸全摘術を行った大腸癌合併例を除くUC症例を対象とした.TACとIFXの承認時期にあたる2010年を境に2009年以前の前期群26例と2010年以降の後期群22例に分け,両者間で初回手術の術後合併症の内容と頻度,背景因子との関連について比較検討した.【結果】術前治療については前期群で1例のみでTACが使用されたが,後期群では15例(68%)でTACまたはIFXが使用された.TACは大部分の症例で手術直前まで使用され,IFXは手術前8日~7ヶ月(中央値45日)が最終投与であった.術後合併症発生率は前期群38%に対し後期群23%と有意差はないが減少傾向を認め,感染性合併症(23%対9%),非感染性合併症(23%対14%)いずれも減少傾向であった.術後平均在院日数は前期群29日,後期群23日と有意に短縮した(p<0.05).背景因子では,手術直前のプレドニゾロン投与量が前期群(平均32.4mg/day)に対し後期群では16.7mg/dayと有意に少なく,術前のアルブミン値が前期群(平均2.6g/dl)に対し後期群で3.2 g/dlと有意に高値であった.前期群では80%と大部分の症例で緊急・準緊急手術として大腸亜全摘術が選択されたが,後期群では50%の症例で待機手術が行われ,2期分割手術として大腸全摘兼回腸肛門吻合術が選択された.【考察】TACやIFXによる術後合併症の増加はみられなかった.むしろ緊急手術の回避やステロイドの減量,栄養改善を通して術後合併症の減少に寄与する可能性が示唆された. |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 術後合併症 |