セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-炎症性疾患

タイトル 外P-515:

当科でのIBD手術症例の検討 -とくに癌合併症例について-

演者 衣笠 哲史(久留米大・外科)
共同演者 赤木 由人(久留米大・外科), 大地 貴史(久留米大・外科), 田中 夏樹(久留米大・外科), 石橋 慶章(久留米大・外科), 弓削 浩太朗(久留米大・外科), 岡 洋右(久留米大・外科), 溝部 智亮(久留米大・外科), 笹富 輝男(久留米大・外科), 白水 和雄(久留米大・外科)
抄録 (背景)潰瘍性大腸炎(以下UC)やクローン病(以下CD)を含む炎症性腸疾患患者数は年々増加している.多くは内科的な治療の進歩で緩解導入できるようになったが,癌やdysplasiaを合併した症例は外科的治療法が必要となる.UCにおける累積癌化率は10年で2%,20年で8%,30年で18%と報告されており,CDでも罹病期間が長いほど癌化のリスクは高くなると報告されている.(対象と方法)IBDと診断され2007―2012年に手術を施行された36症例(UC:17例,CD:19症例)を対象とした.(結果)UC症例の平均年齢は50.4歳で平均BMIは20,男女比は7例:10例,左側大腸炎型7例,全大腸炎型10例であった.手術までの罹病期間は平均122.8ヶ月で,ステロイド総投与量は平均21.9 g,術直前の1日ステロイド投与量は平均16.7 mgであった.手術適応は,待機手術では難治例が13例,大腸癌合併(dysplasiaを含む)が4例(23.5%)で,癌合併1症例に死亡の転帰が認められた.CD手術症例(生検2症例を含む)の内訳は,男:女 8例:11例,平均年齢は42.7歳(21-65),BMIは平均18.25であり,小腸型:大腸小腸型:大腸型は各々3例:8例:8例であった.診断から手術までの期間は平均172.78ヶ月で,初回手術7例,手術既往があるのは12例であった.1例を除き全例相対的適応であった.術式は回盲部切除術,腸管部分切除術,狭窄部形成術,腹会陰式直腸切断術,肛門部生検,肛門狭窄形成術であった.術後の内科的治療は生物学的治療薬が導入されていた.手術時癌合併症例は1例(5.3%)だったが経過観察中に2例癌合併を認め(10.5%),1例は死亡の転帰となった.(結語)IBDの手術は病状を把握し適切な時期に手術を施行することが肝要である.同時に癌合併症例が増加している現状をふまえ,術前や経過観察中に詳細な検査を行うことが必要と考えられた.
索引用語 炎症性腸疾患, 癌合併