共同演者 |
井上 靖浩(三重大大学院・消化管・小児外科学), 沖上 正人(三重大大学院・消化管・小児外科学), 川本 文(三重大大学院・消化管・小児外科学), 奥川 喜永(三重大大学院・消化管・小児外科学), 廣 純一郎(三重大大学院・消化管・小児外科学), 荒木 俊光(三重大大学院・消化管・小児外科学), 田中 光司(三重大大学院・消化管・小児外科学), 永坂 岳志(岡山大大学院・消化器外科学), 内田 恵一(三重大大学院・消化管・小児外科学), 毛利 靖彦(三重大大学院・消化管・小児外科学), 楠 正人(三重大大学院・消化管・小児外科学) |
抄録 |
背景:大腸癌,腺腫ならびに潰瘍性大腸炎関連腫瘍において癌抑制遺伝子として知られるmiR-124のプロモータ領域メチル化レベルを測定し,臨床病理学的意義を検証した.方法:大腸癌(CRC:n=174),腺腫(Ad:n=57),隣接正常大腸粘膜(NC:n=174),正常大腸粘膜(NN:n=20),潰瘍性大腸粘膜非癌部(NUC:盲腸:n=45,横行結腸:n=45,直腸:n=70),Dysplasia(DUC:n=12)ならびColitic Cancer(CUC: n=13)からDNAを抽出,バイサルファイト処理後パイロシークエンスでメチル化レベルを測定した.結果:NC,NNにおけるmiR-124メチル化レベルは年齢と正の相関を示した.CRC,Adのメチル化レベルはNCに比して有意に高値を示した(共にp<0.0001).ROC解析ではほぼ100%の精度でCRC(AUC:0.98),Ad(AUC:0.98)をNCと区別できた.予後解析では高メチル群がCRC患者の独立予後因子であった(p=0.028).一方,NUCのmiR-124メチル化レベルは遠位大腸で高く,直腸で有意に高値を示した(p=0.01).直腸NUCのメチル化レベルは診断時年齢(p=0.04),病脳期間(p=0.01)と有意に相関し,DUC,CUCのメチル化はNUCに比し有意に高値であった(p=0.001,p<0.0001). またROC解析では高い精度でCUC(AUC:0.98),DUC(AUC:0.78)をNUCと区別できた.さらにCUCを合併している直腸NUCのメチル化レベルは合併していない直腸NUCに比べ有意に高値(p=0.008)を認め(field effect), 直腸NUCの高メチル群は独立したCUC同定因子であった(p<0.05).結語:miR-124メチル化は年齢及び腫瘍依存型でfield effectの現象を確認できた.miR-124メチル化レベルは大腸癌,潰瘍性大腸炎関連癌の診断的マーカーに有用である. |