セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-基礎研究 2

タイトル 外P-525:

大腸癌におけるMonocarboxylate transporter (MCT) 4発現の意義

演者 中山 善文(産業医大・1外科DELIMITER産業医大若松病院・消化器・一般外科)
共同演者 鳥越 貴行(産業医大・1外科), 皆川 紀剛(産業医大・1外科), 田村 利尚(産業医大・1外科), 上原 智仁(産業医大・1外科DELIMITER産業医大若松病院・消化器・一般外科), 森 泰寿(産業医大・1外科), 山口 幸二(産業医大・1外科)
抄録 【目的】癌細胞は糖代謝が亢進しており,多くの乳酸を産生している.Monocarboxylate transporters (MCTs)は細胞内に蓄積した酸を細胞外に排出する機能を持ち,癌細胞内のpHを維持するために作用していると言われている.MCTs の中でもMCT4は低酸素状態で誘導されることが示されているが,大腸癌におけるMCT4発に現関しての報告はほとんどなされていない.そこで今回,我々は大腸癌組織におけるMCT4発現の意義を検討した.【対象と方法】術前に同意がとれ,予後の判明している大腸癌手術症例240例を対象とした.抗MCT4抗体(H-90)を使用し,大腸癌切除標本をEnVision+法で免疫染色した.MCT4発現は陽性シグナルの強度と範囲を評価項目としたスコアで判定し,高発現群と低発現群に分けた.MCT4発現と臨床病理学的因子との相関関係をχ2検定で評価した.また,MCT4発現と臨床病理学的因子による予後解析を単変量解析と多変量解析(Cox比例ハザードモデル)で行った.【結果】MCT4発現は主に細胞壁に認められ,130例(54.2%)が高発現群であった.MCT4発現は,部位,壁深達度,遠隔転移,stage (TNM)に対して有意な相関を認めた(p=0.0164, 0.0394, 0.0197, 0.0073).単変量解析では腫瘍径,壁深達度,リンパ節転移,遠隔転移,stage,組織型,リンパ管侵襲,静脈侵襲,MCT4発現が有意な予後因子であった.これらの因子を多変量解析すると,リンパ節転移,遠隔転移,stage,組織型,MCT4発現が有意な独立した予後因子であった(p=0.0067, <0.0001, 0.0142, 0.0028, 0.0001).【まとめ】より進行した大腸癌では低酸素状態が惹起され,癌細胞においてMCT4が誘導されている可能性を示唆するものと思われた.また,MCT4高発現は予後不良因子であることが示唆された.
索引用語 大腸癌, MCT4