セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 1

タイトル 外P-526:

Bevacizumab併用化学療法中に緊急手術を施行した6例

演者 倉吉 学(国立東広島医療センター・外科)
共同演者 豊田 和広(国立東広島医療センター・外科), 壽美 裕介(国立東広島医療センター・外科), 田口 和浩(国立東広島医療センター・外科), 志々田 将幸(国立東広島医療センター・外科), 宮本 和明(国立東広島医療センター・外科), 中谷 玉樹(国立東広島医療センター・外科), 池田 昌博(国立東広島医療センター・外科), 貞本 誠治(国立東広島医療センター・外科), 高橋 忠照(国立東広島医療センター・外科)
抄録 【はじめに】Bevacizumabは抗癌剤との併用で治癒切除不能な進行再発大腸癌に対し広く使用されているが,消化管穿孔などの重大な副作用を認めることがあるとされる.今回,当院で経験したBevacizumab併用化学療法中に緊急手術を施行した6例について報告する.【症例】これまで当院での大腸癌症例に対してBevacizumab併用化学療法は55例施行されており,そのうち緊急手術を必要としたのは6例(10.9%)であった.男性4例,女性2例で,年齢中央値は65(56~76)歳.腫瘍占居部位はD:2例,S:1例,Rb:3例であり,転移部位は肝:3例,腹膜:2例,リンパ節:1例であった.原発巣切除は4例で施行されていた.併用レジメンはFOLFIRI:5例,mFOLFOX6:1例,XELOX:1例(重複あり)であった.Bevacizumab導入から緊急手術までの期間は308(4~1372)日で,最終投与からの期間は18(3~60)日,累積投与量は4192(180~32300)mgであった.術前身体所見はいずれも腹膜刺激症状を伴う腹痛で,画像所見はフリーエア:5例,腹腔内膿瘍:1例であった.術中所見は急性虫垂炎が1例で,その他5例は消化管穿孔であった.(穿孔部位は空腸1例,回腸1例,横行結腸1例,下行結腸(原発巣)1例,部位不明1例.)術式は虫垂切除:1例,ストーマ造設のみ:2例,穿孔部切除+ストーマ造設:2例,ドレナージのみ:1例であった.術後合併症はSSI:3例,静脈血栓症1例,腸管皮膚瘻1例(重複あり)であった.化学療法を再開できたのは4例(66.6%)であった.予後については緊急手術による直接死はなく,術後745日目の原病死が1例あるほかは,いずれも生存中(135(34~890)日)である.【まとめ】当院でのBevacizumab併用化学療法中に緊急手術を施行した6例中5例は消化管穿孔であり,発症率(9.0%)はこれまでの報告(0.6~4.2%)に比べて高率であったが,術後の経過は良好であった.必ずしも手術リスクが高いとはいえず,安全に手術施行できると考えられた.
索引用語 Bevacizumab, 緊急手術