セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 1

タイトル 外P-528:

根治術後短期間で再発・死亡という経過をとった壁外発育型S状結腸未分化癌の1例

演者 渋谷 雅常(大阪市立大・腫瘍外科)
共同演者 前田 清(大阪市立大・腫瘍外科), 永原 央(大阪市立大・腫瘍外科), 野田 英児(大阪市立大・腫瘍外科), 大谷 博(大阪市立大・腫瘍外科), 菅野 兼史(大阪市立大・腫瘍外科), 瀧井 麻美子(大阪市立大・腫瘍外科), 木村 健二郎(大阪市立大・腫瘍外科), 豊川 貴弘(大阪市立大・腫瘍外科), 天野 良亮(大阪市立大・腫瘍外科), 久保 尚士(大阪市立大・腫瘍外科), 田中 浩明(大阪市立大・腫瘍外科), 六車 一哉(大阪市立大・腫瘍外科), 井上 透(大阪市立総合医療センター・消化器外科), 西口 幸雄(大阪市立総合医療センター・消化器外科), 大平 雅一(大阪市立大・腫瘍外科), 池原 照幸(大阪市立総合医療センター・消化器外科), 平川 弘聖(大阪市立大・腫瘍外科)
抄録 症例は69歳,男性.左下腹部痛を主訴に近医を受診.左下腹部に小児頭大の腫瘤を認め,腹部CT検査にてS状結腸に9cm大,内部に壊死を疑わせる低吸収域を伴う富血管性の壁外発育型腫瘍を認めた.S状結腸壁外発育型腫瘍の診断で精査加療目的に当院へ紹介となった.大腸内視鏡検査ではS状結腸に壁外からの圧排像を認めた.粘膜面への腫瘍の露出は指摘できなかったものの,粘膜面の発赤や浮腫状変化などの不整像を認めたため同部より生検を施行したが悪性所見は得られなかった.しかし,画像所見よりGISTなどの悪性腫瘍が疑われたことや短期間の増大傾向からS状結腸切除術を施行した.病理組織学的所見では粘膜下層から漿膜にかけて発育する腫瘍で,腫瘍内には出血や壊死が散見された.HE染色では多型性に富んでおり,類上皮様の細胞が乳頭状,シート状,あるいは細胞接着性に乏しく個細胞性に増殖している一方で,異型の弱い紡錘型細胞が不規則に束状にあるいは異型の強い紡錘型細胞が肉腫様に増殖している部分も認められた.免疫染色ではAE1/AE3が陽性であり,クロモグラニンA,CD56,シナプトフィジンは陰性であった.内分泌癌が否定的で分化傾向に乏しいことからS状結腸未分化癌と診断された.se,n0,H0,P0,M0,stage2であった.術後約1か月で癌性腹膜炎による全身状態の悪化を認め近医へ入院.化学療法を導入することなく術後2ヶ月で癌死した.大腸における未分化癌は非常に稀でその予後は極めて不良とする報告が多い.また大腸癌のうち壁外発育するものは比較的稀で,初期には腸管内腔が保たれるため症状を呈しにくく増大してから発見されることが多い.根治手術後2カ月で死亡という急な経過をとった壁外発育型S状結腸未分化癌の1例を経験したので報告する.
索引用語 大腸未分化癌, 壁外発育型