セッション情報 ワークショップ10(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器がん検診学会合同)

患者にやさしい大腸内視鏡検査の工夫

タイトル 内W10-12:

直径6.8mmの極細径内視鏡による大腸内視鏡検査:高齢女性・挿入困難例での有用性

演者 冨樫 一智(福島県立医大・会津医療センター準備室(小腸・大腸・肛門科))
共同演者 根本 大樹(福島県立医大・会津医療センター準備室(小腸・大腸・肛門科)), 砂田 圭二郎(自治医大・光学医療センター)
抄録 【目的】直径11mm前後の細径内視鏡が大腸内視鏡検査で一般に使用されているが、経鼻内視鏡と同様の経を有する極細径内視鏡が大腸内視鏡検査で使用された経験は少ない。昨年4月に発売された極細径大腸内視鏡機器(長径6.8mm、通常内視鏡との面積比32%、全長・有効長は同一)について、内視鏡の挿入性・ポリープ発見能・被検者の受容性の観点から検討した。【方法】2011年9-11月に1施設で大腸内視鏡を行った70歳以上の女性27例(中央値79歳、範囲70-92歳)または、前回内視鏡検査で挿入困難であった12例(中央値75歳、範囲42-87歳、2例は前回検査で盲腸未到達)を対象とした。すべての検査は、一人の熟練内視鏡医が炭酸ガス送気・非透視下にアルファループ法により行った。腸管蠕動抑制剤は全例で使用したが、鎮痛・鎮静剤は挿入困難例の3例でのみ使用した。盲腸到達率、回腸末端挿入率、腺腫発見率、苦痛度を指標として検討した。苦痛度は、visual analogue scale (VAS)により10段階で評価した。【成績】盲腸到達率は高齢女性96%(26/27)、挿入困難例100%(12/12)であり、盲腸に到達できなかった1例は、体躯の大きな83歳女性であった。回腸末端挿入率は高齢女性85%、挿入困難例75%であった。盲腸到達時間(中央値)は、高齢女性14.2 分(最短7.0分、最長52.4分)、挿入困難例15.6分(最短8.0分、最長29.4分)であった。腺腫発見率は、高齢女性52%、挿入困難例33%であった。VAS(中央値)は、高齢女性2.5/10(最小0/10、最大6/10)、挿入困難例1/10(最小0/10、最大4/10)であった。前回検査との比較ができた23例では、87%で前回よりも苦痛度は低かった。【結論】極細径内視鏡を用いた大腸内視鏡検査は、挿入時間を要するが受容性の高い検査であり、高齢女性・挿入困難例における選択肢となりうると考えられた。
索引用語 極細径内視鏡, 大腸内視鏡検査