セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 1

タイトル 外P-531:

鏡視下に治療したS状結腸癌肛門外脱出の一例

演者 富塚 龍也(武蔵野総合病院・外科)
共同演者
抄録 症例は72歳女性,近医にてS状結腸腫瘍指摘されるも放置.約9か月後,新鮮血下血多量に認め当院受診.受診時,肛門より腫瘤の脱出あり用手還納.CT上,S状結腸から直腸まで連続する腫瘤陰影を認めS状結腸腫瘍の肛門外脱出と診断.禁食にて経過観察したところ次第に下血は消失した.第6病日に注腸施行したところS状結腸は過長であり約7×5cm大のtype1腫瘍を整復された状態で認めた.続いて施行した大腸内視鏡にてS状結腸に巨大なtype1腫瘍認め生検ではgroup4であった.S状結腸癌の疑いで待機的に鏡視下にS状結腸切除術施行した.病理組織学的所見はadenocarcinoma in tubulovillous adenoma 71×45×11mm(環周率83%) pM ly0 v0 pN0 stage1 であった. 還納前に施行した骨盤CTでIMA領域の3D-CT像を作成したところ腫瘍の栄養血管と思われるS状結腸動脈が尾側に過度に牽引される特異な像が得られ,整復後のCTでは,同血管が正常の位置に戻っていた.S状結腸癌の肛門外脱出は比較的稀な状態であり医学中央雑誌で検索したところ1969~2011年の間に38例の報告をみるのみであり,そのうち術前に完全整復可能であった症例は自験例含め6例のみである.また自験例は鏡視下に手術し低侵襲に根治性の高い治療を行うことが可能であった.非常に稀な症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
索引用語 S状結腸癌, 肛門外脱出