セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 2

タイトル 外P-533:

稀な脾門部リンパ節転移来した結腸癌の症例

演者 上原 正弘(京都桂病院・外科)
共同演者 神頭 聡(京都桂病院・外科), 吉野 健史(京都桂病院・外科), 濱洲 晋哉(京都桂病院・外科), 小西 小百合(京都桂病院・外科), 西躰 隆太(京都桂病院・外科), 間中 大(京都桂病院・外科)
抄録 (症例)38歳男性,(既往歴)特になし,(現症)左下腹部痛にて近医受診し精査されると下行結腸に全周性の2型病変を認め生検にてtub1の診断であった.採血にて異常所見はCEA/CA19-9=1.5ng/ml / 59.5U/mlで,画像診断ではCTにて脾彎曲部に腫瘤を認め周囲にリンパ節腫大を認めた.臨床病期SE N1 H0 P0 M0=Stage IIIaの結腸癌として2009年8月に腹腔鏡下左半結腸切除術 D3郭清を施行した.病理結果はType 2, tub 2, 6x5cm, SS, N1(#221, n=2/46), int, INFβ, ly0, v0, PM0, DM0, stage IIIaであった.術後補助化学療法にてcapecitabineを投与していたが術後3ヶ月経過し軽快していたCA19-9が74.6U/mlまで再上昇し,CTでは異常指摘し得なかったがPETにて脾臓下極に集積像を認めた.MRI(Se9:Im8, Se4:Im36)では脾臓と同様の信号を示す結節を認め,副脾や播種巣を疑う所見であった.その他には再発を疑う所見はなかった.以上より脾門部のリンパ節転移も否定できず,根治的治療も可能であると考え2009年12月に摘出手術を施行した.腹腔内に播種は認めず,結節は膵尾部および脾静脈に固着し剥離困難であったため腹腔鏡下膵尾脾合併切除を施行した.病理所見は最大径2.8cmのリンパ節で結腸癌の転移を疑う所見であり膵への浸潤は明らかではなかった(n=2/16).術後補助療法としてXELOXを6コース施行し,その後3年経過し再発を認めていない.(考察)Stage IV大腸癌および再発大腸癌については切除により根治が望めることがある.初回手術の際に腸管傍リンパ節転移を認めたものの,それより遠位に転移を認めず,再発を疑った際も脾周囲の転移所見以外に悪性所見はなかった.大腸癌治療ガイドラインでは初回手術時,進行癌においてD3郭清が勧められているが,本例の様な孤立性転移や再発は稀であるため脾彎曲付近の腫瘍であっても脾門部リンパ節の取り扱いに対する記載はない.今回我々は稀な脾門部リンパ節転移を伴う結腸癌症例を経験したため文献的考察を交え報告する.
索引用語 大腸癌, リンパ節転移