セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 2

タイトル 外P-534:

直腸癌術後局所再発に対して化学放射線療法施行後に仙骨合併骨盤内臓全摘によるR0手術を施行しえた1例

演者 芳澤 淳一(伊那中央病院・外科)
共同演者 中山 中(伊那中央病院・外科), 芦澤 僚平(芦澤整形外科), 大久保 洋平(伊那中央病院・外科), 荻原 裕明(伊那中央病院・外科), 久保 直樹(伊那中央病院・外科), 飯島 智(伊那中央病院・外科), 竹内 信道(伊那中央病院・外科), 伊藤 憲雄(伊那中央病院・外科), 辻本 和雄(伊那中央病院・外科)
抄録 [はじめに]直腸癌術後局所再発は手術による切除が根治的治療法であるが,骨盤内の他臓器に浸潤すると,大きな手術侵襲や術後の著しいQOL低下が問題となる.一方で化学放射線療法は病勢コントロール,症状緩和のために行われることが多い.今回,直腸癌術後局所再発に対して化学放射線療法後に腫瘍の増大を認め,サルベージ手術として仙骨合併骨盤内臓全摘を行い,R0手術を施行しえた1例を経験したので報告する.[症例] 54歳男性.直腸癌(Ra, Type2, 5.1x4.5x1.0cm, moderately differentiated adenocarcinoma, SE, ly2, v1, N1, H0, M0, stageIIIa)に対し低位前方切除術を施行したが,術後5か月で吻合部後方,仙骨前面に局所再発を認めた.仙骨合併切除手術を検討したものの患者本人の希望により放射線,化学療法の方針となり,放射線療法(計50.4Gy),FOLFOX, FOLFIRI, ベバシズマブ,セツキシマブによる化学療法を順次施行した.化学放射線療法により術後3年間はほぼSDのまま経過したが,再発巣の増大,腫瘍マーカーの上昇を認めた.局所再発以外の遠隔転移,リンパ節転移は認めず根治手術の見込みがあること,臀部の疼痛コントロールが困難となったことから手術の方針となった.手術では初回の手術操作とその後の放射線治療の影響でS状結腸周囲,仙骨前面が高度な瘢痕化をきたしており,剥離に難渋した.吻合部周囲では仙骨はもとより内腸骨動静脈,前立腺との癒着剥離は困難でありS3以下仙骨合併骨盤内臓全摘を行った.手術時間は18時間54分,出血量は2055gであった.病理では高分化型腺癌が吻合部筋層から仙骨周囲に達していた.術後10か月を経て,無再発生存中である.[考察]一般的には直腸癌術後局所再発に対する放射線治療後の根治切除は高度な癒着のため適応とならず,本邦での報告例はないが,直腸癌術後局所再発に対する集学的治療の一つの選択肢となる可能性がある.
索引用語 直腸癌再発, 化学放射線療法