セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 2

タイトル 外P-535:

閉塞性大腸癌に対し,減圧腸瘻を造設した7症例の検討

演者 森永 暢浩(公立藤岡総合病院・外科)
共同演者 熊倉 裕二(公立藤岡総合病院・外科), 高橋 遼(公立藤岡総合病院・外科), 谷 賢実(公立藤岡総合病院・外科), 設楽 芳範(公立藤岡総合病院・外科), 石崎 政利(公立藤岡総合病院・外科)
抄録 はじめに腸閉塞で発症した大腸癌では,術前や術中の減圧処置が必要である.今回我々は,イレウス管挿入困難や減圧不良症例,腹腔内遊離ガスを認めた症例に対し,緊急減圧腸瘻を造設した症例について検討した.対象2008年1月から2012年12月に,当科で,閉塞性大腸癌にたいし,緊急減圧腸瘻・チューブ瘻を造設した7症例.男性3例,女性4例,平均年齢80.6歳(57-91歳).閉塞原因の腫瘍の存在部位は,横行結腸3例,下行結腸1例,S状結腸1例,直腸1例であった.結果減圧腸瘻・チューブ瘻の造設理由は,減圧不良2例,挿入不可4例(呼吸状態不良により処置困難2例),穿孔疑いにて開腹1例であった.減圧部は,盲腸3例,横行結腸1例,S状結腸1例,回腸1例,虫垂チューブ瘻1例であった.手術時間は32-143分(平均65.6分)であった.全身麻酔で行ったが,全身状態不良であった2症例では,局所麻酔で盲腸瘻を造設した.いずれも,減圧効果は良好であり,5症例で4-6日後(平均4.6日)に,食事再開が可能となった.盲腸チューブ瘻を造設した1症例と術前より誤嚥性肺炎を発症していた1症例では,2期手術前には,食事開始できなかった.2期手術は6症例で行った.4症例で根治手術(D3郭清)を行った.2症例では狭窄部切除(D1,D2)となった.骨盤骨折入院中の発症であった1症例では,2期手術を希望されなかった.2期手術までの期間は9-30日(平均18.5日)であった.考察経口・経肛門イレウス管での減圧が行えず,1期手術が困難と判断した症例で,減圧腸瘻・チューブ瘻造設を行い,良好な結果を得た.2期手術までは,平均18.5日を要しているが,食事を再開し,全身状態の改善を行いながら,術前検査,合併症を評価をできたと考えている.呼吸状態が不良で全身麻酔が不可と判断した症例では,局所麻酔で施行することができた.経口イレウス管,経肛門イレウス管の改良や自己拡張金属ステント等,非侵襲的減圧処置の進歩が著しい現在でも,緊急減圧腸瘻造設・チューブ瘻造設は,必要かつ有効な処置であると考える.
索引用語 閉塞性大腸癌, 減圧腸瘻