セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 2

タイトル 外P-536:

直腸癌術後縫合不全による難治性瘻孔に対しフィブリン糊注入が有用であった一例

演者 塚本 潔(兵庫医大・外科(下部消化管外科))
共同演者 松原 長秀(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 野田 雅史(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 山野 智基(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 久野 隆史(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 山岸 大介(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 濱中 美衣(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 小林 政義(兵庫医大・外科(下部消化管外科)), 冨田 尚裕(兵庫医大・外科(下部消化管外科))
抄録 症例は77歳男性,2010年10月直腸癌に対し低位前方切除術を施行した(Ra,ant,1型,pMP,pN0,H0,P0,M0,stage1).吻合はDST法による端々吻合としたが,肛門側腸管を切離する際に断端ステープリングの形成不全があった.自動縫合器を再度使用し吻合を行うも骨盤内の汚染,肛門側断端が二回切りになったことなどより空置的回腸人工肛門を置いた.術後吻合部造影にて縫合不全が確認されたが退院,外来でのフォローとした.尚,術後補助化学療法は施行していない.術後約1年間保存的に経過をみるも縫合不全の治癒傾向が見られず吻合部後方へ向かう難治性の瘻孔が遺残した.内視鏡的に瘻孔を確認し同部位にフィブリン糊の注入を行うことで徐々に瘻孔の縮小を見たため2012年5月人工肛門閉鎖術を施行した.現在も外来フォロー中であるが瘻孔の再発,骨盤内膿瘍等の問題なく経過している.フィブリン糊注入法は瘻孔を閉鎖する方法として有用であるがフィブリノーゲン溶液とトロンビン溶液を混合すると瞬時に凝固してしまうため内視鏡的に注入する場合は工夫が必要である.我々は内視鏡の側面に中心静脈栄養用のダブルルーメンカテーテルを張り付けたものを使用し,途中で凝固しないように工夫した.肛門から吻合部の距離が長い場合は手技的に困難であるかもしれない.さらに本法を施行するには瘻孔部の排液,汚染が少ないことが条件であり消化管の縫合不全では適応が限られる.しかし条件がそろえば瘻孔閉鎖に対して非常に有効であり難治性の縫合不全に有用であると考える.
索引用語 縫合不全, フィブリン糊