セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 2

タイトル 外P-537:

大腸原発髄外性形質細胞腫の1例

演者 大江 正士郎(社会保険滋賀病院・外科)
共同演者 八木 俊和(社会保険滋賀病院・外科), 安東 勝宏(社会保険滋賀病院・外科)
抄録 【はじめに】髄外性形質細胞腫は,骨以外に発生する形質細胞腫で,全形質細胞腫の3-5%を占める.発生部位の約90%は上気道であるが,消化管にも発生する.今回我々は上行結腸原発の髄外性形質細胞腫の1例を経験したので報告する.
【症例】62歳の男性,便秘を主訴に来院し大腸内視鏡検査で上行結腸に腫瘍による全周性の狭窄を指摘された.生検ではCD79a陽性,CD138陽性の異型細胞の増殖を認め,形質細胞腫の疑いであった.尿中Bence Jones蛋白は陰性で,血清免疫グロブリンの異常は認めず,骨病変を含む臓器障害は認めなかった.FDG-PET検査では,上行結腸に巨大な腫瘤を認め,同部位に著明な限局性異常集積を認めた.以上により,結腸原発髄外性形質細胞腫の術前診断で右半結腸切除術を施行した.病理診断はIgGκ型の形質細胞腫であった.
【考察】大腸原発の髄外性形質細胞腫の本邦報告例は自験例を含めて6例である.男女比は5:1で男性に多く,平均年齢は54.3歳,直腸3例,結腸3例.症状は血便4例,腹痛1例,便秘1例,平均腫瘍径は4.1cm,組織型はIgGκ型が3例,IgGλ型が2例,不明が1例であった.治療方針は,手術単独が5例,手術と放射線併用が1例だった.リンパ節転移は6例中1例に認めた.髄外性形質細胞腫は放射線感受性が高い腫瘍であり,頭頸部などの根治的切除により美容的欠損を残す領域では,放射線治療が第一選択である.しかし,結腸に関しては,小腸の被爆の可能性があること,リンパ節転移を認めることより,手術が第一選択である.直腸では放射線治療の併用が有効と考えられるが,症例が少なく,有効性は不明である.
【結論】大腸原発の髄外性形質細胞腫では手術が第一選択であり,結腸では手術的に完全に切除することが重要である.
索引用語 髄外性形質細胞腫, 大腸