セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 3

タイトル 外P-538:

当院における85歳以上超高齢者大腸癌手術症例の検討

演者 沢 秀博(三木市民病院・外科)
共同演者 水本 拓也(三木市民病院・外科), 御井 保彦(三木市民病院・外科), 黒田 大介(三木市民病院・外科)
抄録 【はじめに】近年,高齢者の増加に伴い85歳以上(超高齢者)大腸癌の症例数も増加している.高齢者では主要臓器機能低下や併存疾患に考慮し,合併症対策と根治性の保持のバランスに留意する必要がある.【対象と方法】2010年から2012年の期間に当院で手術治療を施行された超高齢者大腸癌8例を対象にretrospectiveに検討した.【結果】平均年齢は88歳(85~92歳),男性1例,女性7例.原発巣の局在はCが2例,Aが2例(穿通1例),Dが2例,Sが2例.術前併存症は全例に認め,ECOGのPS2以上は88%だった.初発症状は,有症状が5例(上行結腸癌穿通による右下腹部痛が1例,下血が2例,便秘が1例,便秘・下痢が1例),無症状が3例(全例貧血).Stageの内訳は,Stage1が2例,Stage2が4例,Stage3aが1例,Stage3bが2例であった.手術方法は,開腹手術は6例,腹腔鏡手術は2例で,ハルトマン手術は2例に行われた.上行結腸癌穿通を認めた症例は,吻合後,小腸人工肛門を造設した.右腎癌合併例は,同時切除を行った.平均手術時間は,184分(128~295分)で,平均出血量は243ml(55~535ml)であった.術中輸血は腎摘を同時に行った症例に施行したD3郭清は右側結腸系の手術に多く,左側結腸系の手術は,年齢や状態に合わせ,D1郭清が1例,D2郭清が3例,D3郭清が1例であった.術後合併症はPSが不良で絶食が必要であった症例に認め,イレウスが2例,絶食に伴う胆嚢炎が1例であったが,いずれも保存的加療により改善した.全例術後一時的にADLが低下したが,早期よりリハビリを行うことにより,退院時は入院時と同等で増悪した症例は認めなかった.食事摂取量は,症例により異なるが,全例経口摂取できる状態で退院となり,施設に戻った1例を除き,7例は自宅に退院となった.在院死はなかった.【結語】超高齢者に対する大腸癌手術は安全に施行することができた.PSが不良で術前絶食期間が長い症例は術後合併症を有する可能性が高く,今後,対策が必要と思われた.
索引用語 大腸癌, 超高齢者