セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 3

タイトル 外P-540:

大腸癌遠隔リンパ節転移切除5症例の検討

演者 阿部 隆之(岩手県立磐井病院・外科)
共同演者 佐藤 耕一郎(岩手県立磐井病院・外科), 伊藤 靖(岩手県立磐井病院・外科), 赤田 徹弥(岩手県立磐井病院・外科), 武藤 亮(岩手県立磐井病院・外科), 福島 大造(岩手県立磐井病院・外科), 中村 崇宣(岩手県立磐井病院・外科), 加藤 博孝(岩手県立磐井病院・外科)
抄録 大腸癌の遠隔臓器転移において,原発巣が制御された上で切除可能な血行性転移病変に関しては,完全切除できれば長期予後が望める可能性があるとして,治療ガイドラインにも切除が推奨されているが,遠隔リンパ行性転移巣切除に関しては報告が散見されるものの,統一した見解はない.
2007年から当科で経験した遠隔リンパ節転移切除症例5例についての検討を報告する.症例は60歳台~80歳前半で,男性4名女性1名.上行結腸癌3名,直腸癌2名であった.原発巣切除と同時切除は2例,上行結腸癌と直腸癌で両方とも傍大動脈リンパ節転移であった.異時切除3症例は,上行結腸→総肝動脈リンパ節,直腸→左鼠蹊部リンパ節,上行結腸→外腸骨動脈リンパ節で,原発巣切除からの期間はそれぞれ3年6か月,9か月,6か月であった.通常,遠隔リンパ節転移が切除対象となることは少ないと思われるが,同時切除症例では術中偶発的に発見され,侵襲を拡大することなく切除可能であったことが切除理由であり,術前画像診断で指摘されなかったものである.異時切除症例では,原因不明の腹腔内腫瘤として発見された,化学療法を拒否した,単発であった,などの理由があった.予後としては,直腸癌の傍大動脈リンパ節転移同時切除症例が肺・骨転移で切除から3年6か月後に死亡したが,他の4症例はリンパ節切除から,5年6か月,5年1か月,5年,1年6か月で再発なく存命中で,3例は術後化学療法を行っていない.
遠隔リンパ節転移であっても,症例を選択しての外科的切除によって予後が改善できる可能性を示唆するものである.切除症例については,患者の同意は当然であるが,原発巣根治切除より時間が経過している,単発である,化学療法を行っていない,大侵襲なく切除可能,といった症例が対象となろう.文献的考察を加え,検討する.
索引用語 大腸癌, 遠隔リンパ節転移