セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 4

タイトル 外P-547:

同時性多発肝転移を伴い急速な進行をきたした盲腸内分泌細胞癌の1例

演者 鈴木 一則(鳥取生協病院・外科)
共同演者 谷口 健次郎(鳥取生協病院・外科), 大呂 昭太郎(鳥取生協病院・外科), 竹内 勤(鳥取生協病院・外科)
抄録 大腸内分泌細胞癌は全大腸癌の0.2%程度と極めて稀であり,悪性度が高く予後不良とされている.同時性多発肝転移を伴い急速な進行をきたした盲腸内分泌細胞癌の1例を経験した.症例は72歳,男性.高血圧症,2型糖尿病にて当院内科通院中であったところ,全身倦怠感,食欲不振を主訴に受診した.血液検査で肝胆道系酵素の上昇を認め,CA19-9が129.3U/mlと上昇していた.腹部CT検査で多発肝腫瘤,盲腸部腫瘤,腸間膜リンパ節腫大を認めた.大腸内視鏡検査,注腸造影検査で盲腸に3型腫瘍を認め,生検で当初は低分化腺癌と診断されたが,免疫染色にてCK,EMA,S-100,chromogranin陽性,CD3,CD20陰性であり,内分泌細胞癌と病理診断されたため,同時性多発肝転移を伴う盲腸内分泌細胞癌と診断が確定した.EGFR陽性,KRAS変異型であった.腹痛が出現したためオピオイド投与を開始した.病変の進行が非常に早く,全身状態が悪化傾向にあったため原発巣に対する切除は行わず,化学療法としてmFOLFOX6療法を開始した.しかしながら,肝障害と腎障害が増悪し,PS低下をきたしたためmFOLFOX6療法は1コースしか実施できず.肝転移巣が急速に増大して肝不全に陥り,治療開始17日目という短期間で原癌死するに至った.大腸内分泌細胞癌は非常に稀な悪性腫瘍であるが,化学療法が奏功しにくく予後が極めて不良であり,手術に加えて化学療法を主体とした集学的治療の確立が望まれる.本症例の経験は貴重であると考えられ,文献的考察を加えて報告する.
索引用語 盲腸癌, 内分泌細胞癌