セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 5

タイトル 外P-551:

特異的なMRIを呈した直腸癌術後硬膜転移が原因と考えられる肥厚性硬膜炎の1例

演者 弓場 孝郁(京都ルネス病院)
共同演者 山本 育男(京都ルネス病院), 清川 厚子(京都ルネス病院), 冨士原 正人(京都ルネス病院)
抄録 今回,われわれは消化器癌の合併症例では非常にまれな疾患である肥厚性硬膜炎を経験したので報告する.症例は68歳の男性で2011年9月に上行結腸癌とS状結腸癌,直腸癌の診断で右半結腸切除術,低位前方切除術を施行した.病理検査は上行結腸癌,S状結腸癌はtub1,pM,N0,pStage0,直腸癌はpor2,pMP, N2,pStage3bで術後補助化学療法を施行した.2012年10月に頭痛を認め,造影MRIを施行した結果,自己免疫性疾患由来,または抗癌剤が起因とした肥厚性硬膜炎を疑った.PET-CTで全身性転移を認めたことより硬膜転移が原因と思われる肥厚性硬膜炎と考えた.入院後にステロイドを開始し症状は改善したが多臓器不全のため入院後28病日目に永眠された.肥厚性硬膜炎は頭蓋や脊椎における硬膜の慢性炎症の結果,硬膜が著明に肥厚した病態で,頭痛や難聴,顔面神経麻痺を始めとする多発性脳神経障害などの神経症状が出現する.以前までは梅毒,結核を原因とするものが多いとされていたが,近年は原因不明の特発性や自己免疫病,悪性腫瘍に関連したものが報告されている.本症例は当初,抗癌剤や自己免疫性疾患由来の肥厚性硬膜炎と考えた.しかし,自己免疫性疾患を疑う検査が陰性であり,あらためてPET-CTで全身性転移を認めたことと,診断後の病気の進行が急速であったことより硬膜転移が原因と考えられる肥厚性硬膜炎と考えた.
索引用語 肥厚性硬膜炎, 大腸癌術後再発