セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

大腸-症例 5

タイトル 外P-553:

集学的治療により長期生存している横行結腸癌による播種性骨髄癌症の1例

演者 内藤 雅康(福岡大・消化器外科)
共同演者 吉田 陽一郎(福岡大・消化器外科), 愛洲 尚哉(福岡大・消化器外科), 谷村 修(福岡大・消化器外科), 二村 聡(福岡大・病理学), 星野 誠一郎(福岡大・消化器外科), 山下 裕一(福岡大・消化器外科)
抄録 【はじめに】播種性骨髄癌症は,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)を合併し,発症後2~3か月以内に死亡する極めて予後不良な疾患である.本邦では胃癌による播種性骨髄癌症の報告が大多数であるが,大腸癌によるものは極めて少ない.今回我々は,横行結腸癌による播種性骨髄癌症でDICを併発した症例に対しXELOX+Bevacizumab(BV)による化学療法とトロンボモジュリン投与を行いDICから離脱を可能にし,手術により原発巣を切除し得た症例を経験したので報告する.【症例】61歳男性.健康診断で血液検査の異常を指摘され,当院受診となった.下部消化管内視鏡検査で横行結腸癌による結腸狭窄を認め,生検ではsignet ring cell carcinoma(sig)であった.また,CT検査およびPET検査で,多発リンパ節および骨転移を認めた.DICを認めていたため骨髄穿刺を行い横行結腸癌による播種性骨髄癌症と診断され,当科緊急入院となった.入院後直ちにXELOX+BVによる化学療法を行うとともに,DICに対してトロンボモジュリンを使用した.さらに,骨転移に対しデノスマブも併用した.化学療法を3コース行い,Grade 3以上の有害事象を認めずDICから離脱し得た.また,3コース後の評価で,多発リンパ節および骨転移の著明な縮小を認めた.4コース目を外来で施行した後,拡大右半結腸切除術を行い原発巣の切除を行った.現在,継続して化学療法を行い,5ヶ月生存している.【まとめ】大腸癌による播種性骨髄癌症は極めて稀であり,さらにDICを併発するため極めて予後は不良である.本症例は化学療法および凝固活性抑制剤の併用によりDICから離脱することができ,また原発巣の切除が可能であった.大腸癌(sig)の播種性骨髄癌症で5ヶ月以上生存した報告例はなく,長期生存を目指す上で示唆に富む症例と思われ,その後の経過も含めて報告する.
索引用語 播種性骨髄癌症, 集学的治療