セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-診断 1

タイトル 外P-558:

新IPMN/MCN国際診療ガイドラインに基づいた切除症例の再検討

演者 青木 琢(東京大・肝胆膵外科)
共同演者 阪本 良弘(東京大・肝胆膵外科), 金子 順一(東京大・肝胆膵外科), 菅原 寧彦(東京大・肝胆膵外科), 長谷川 潔(東京大・肝胆膵外科), 國土 典宏(東京大・肝胆膵外科)
抄録 【背景・目的】新IPMN/MCN国際診療ガイドラインでは特に分枝型IPMNの診療方針選択のアルゴリズムに変更が加えられ,嚢胞径3cmの項目が最初の切除基準から外れたほか,EUSの所見に基づきフォローアップのrecommendationも加えられた.また主膵管IPMNでは主膵管径5-9mmの症例でフォローアップのオプションが加えられた.外科切除においては,良性腫瘍に対する切除を減らす一方で,悪性例を漏らさない配慮も必要である.その観点から当科での切除例を再検討した.【方法】当科でのIPMN切除例116例(主膵管型34例,分枝型80例,分類不能2例)を対象に,新アルゴリズムで切除適応を再分類した.【結果】切除例の内訳は,浸潤癌32例(27%),微小浸潤癌11例(9%),非浸潤癌7例(6%),borderline 5例(4%),腺腫61例(52%)であり,主膵管型の13例(38%)および分枝型の47例(58%)が腺腫であった.新アルゴリズムでは主膵管型のうち5例が主膵管の5-9mmの拡張のみの所見で,経過観察も可と考えられたが,1例にborderline malignancyが含まれていた.一方,分枝型では切除適応とされた症例は55例で,腺腫23例(41%)が含まれたが,borderline malignancy 例を除き悪性例はすべて切除適応群に含まれた.一方,経過観察群には25例が含まれ,1例のborderline症例を除き,すべて腺腫例となった.腺腫例で切除対照群に含まれた症例は大部分が嚢胞内隆起の存在が疑われた症例であった.また,最近の切除例はほとんどが主膵管型もしくは混合型であり,外科紹介の時点ですでに分枝型の切除適応へのセレクションが行われている傾向が顕著であった.【結論】新診療ガイドラインは良性例の選別,悪性例の漏れのない拾い上げの両面で優れた識別能を発揮しうると考えられる.より適格な切除対象の拾い上げのためには,EUS, MRIによる嚢胞内隆起の正確な診断が求められる.
索引用語 膵IPMN, 新ガイドライン