セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-診断 2

タイトル 外P-561:

決定木分析によるIPMNの治療戦略‐手術適応と術式選択,至適郭清範囲‐

演者 鈴木 裕(杏林大・外科)
共同演者 中里 徹矢(杏林大・外科), 横山 政明(杏林大・外科), 松木 亮太(杏林大・外科), 阿部 展次(杏林大・外科), 森 俊幸(杏林大・外科), 正木 忠彦(杏林大・外科), 杉山 政則(杏林大・外科)
抄録 [背景] IPMNはサブタイプの定義や分類がいまだ不明瞭.また,主膵管型/複合型でも一定の割合で腺腫が存在,経過観察可能な主膵管型/複合型の存在も示唆.術前での正確な悪性度診断が必要も,画像診断での良悪性診断に難渋する症例も多い.さらに,縮小手術の妥当性や郭清範囲についても議論が多く,術式別成績の解析が必要.[目的]IPMNの手術適応と術式の妥当性,至適郭清範囲を検討[方法]対象は病理診断でIPMNと確定した87例.決定木分析により術前所見におけるIPMNの取扱いを検討.年齢,主膵管径,嚢胞径,壁在結節径はROC解析でCut off値を設定.さらに,リンパ節転移例,浸潤癌症例,再発例,切除断端陽性例の臨床病理像,術式別の成績から妥当術式,至適郭清範囲を検討.[結果] 主膵管型/複合型36例(腺癌12例/33%),分枝膵管型51例(腺癌9例/18%).新ガイドラインの項目(嚢胞径≧3cm,主膵管径≧5mm,嚢胞壁肥厚/造影,EUSで壁在結節(+),膵液細胞診)のいずれかを認める症例を手術適応と考えると腺癌の感度100%,特異度3%,正診率26%.生存分析では浸潤腫瘍(浸潤癌+微小浸潤癌)は非浸潤腫瘍(腺腫-非浸潤癌)よりも有意に5生率が低く(98%vs73%),再発率は浸潤腫瘍が有意に高い(5%vs43%).そのため,非浸潤癌での切除を推奨.決定木では,まず壁在結節径≧9mmで65%がIPMCの有意な因子.さらに,壁在結節径≧9mmかつ嚢胞径≧43mmでは92%がIPMC.リンパ節転移は5例(全て浸潤癌,n1).浸潤癌は10例で郭清範囲は1群2群とも5例ずつ.うち原病死2例.再発は9例(浸潤癌3,微小浸潤癌2,境界悪性病変1,腺腫3)で残膵が最多6例(67%).縮小手術は12例(腺腫11例,腺癌1例)で全例再発死亡なし.PCM(+)は10例(腺腫9例,CIS1例)で全例増悪や死亡例認めず.[結論]IPMCは壁在結節≧9mm,加えて嚢胞径≧43mmでは高率であり切除を推奨.微小浸潤癌まではD1の定型手術,浸潤癌はD2の定型手術を推奨.腺腫が確定すれば縮小手術が可能.膵断端は腺腫であれば追加切除は不要であるが,腺腫でも残膵再発の危険あり,定期フォローが必要.
索引用語 IPMN, 治療戦略