セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-診断 2

タイトル 外P-563:

主膵管型IPMNに対する至適術式の検討

演者 石田 潤(神戸大・肝胆膵外科)
共同演者 松本 逸平(神戸大・肝胆膵外科), 新関 亮(神戸大・肝胆膵外科), 浅利 貞毅(神戸大・肝胆膵外科), 後藤 直大(神戸大・肝胆膵外科), 椋棒 英世(神戸大・肝胆膵外科), 田中 正樹(神戸大・肝胆膵外科), 白川 幸代(神戸大・肝胆膵外科), 山下 博成(神戸大・肝胆膵外科), 岩崎 寿光(神戸大・肝胆膵外科), 福本 巧(神戸大・肝胆膵外科), 味木 徹(神戸大・肝胆膵外科), 具 英成(神戸大・肝胆膵外科)
抄録 【背景と目的】2012年IPMN/MCNコンセンサス診療ガイドラインにおいて主膵管型IPMNには切除が推奨され,その術式についても言及されている.自験例から至適術式について検討し,新ガイドラインの妥当性について考察した.【対象】対象は2003年-2012年の主膵管型IPMN切除41例.男女比22:19,平均年齢67歳,最終診断は腺腫14例,上皮内-微小浸潤癌15例,浸潤癌12例.手術は浸潤癌ではD2郭清を標準術式とし,膵実質は病変の完全切除が可能な範囲で温存する方針とした.【術式と予後】術式は膵全摘(TP)4例,膵亜全摘(STP)8例,尾側膵切除(DP)9例,膵中央切除(MP)2例,膵頭十二指腸切除(PD)18例.膵実質浸潤については浸潤癌の術前正診率は100%であり,微小浸潤癌までの症例でリンパ節転移は認めなかった.膵管内進展では主膵管断端がhigh grade dysplasiaであった2例に膵断端再発を認めた.主膵管断端がintermediate grade dysplasia以下の症例では膵断端再発を認めなかった.【膵実質温存術式について】浸潤癌のTP3例ではPS低下のため術後補助化学療法は導入できなかったが,浸潤癌のSTP4例では3例で施行できた.TPは2例で頻回の低血糖発作など血糖コントロール不良であったが,術前に糖尿病のなかったSTP5例では血糖コントロールは良好であった.【考察】浸潤癌の正診率は高く,非浸潤癌(微小浸潤癌を含む)と診断すればリンパ節郭清の必要性は低いと考えられた.新ガイドラインでは非浸潤癌に対してもリンパ節郭清を伴う膵切除が標準術式であるとされ,これについては症例の蓄積とさらなる検討が必要である.主膵管断端がhigh grade dysplasiaの症例で膵断端再発を認めており,術中迅速診断でintermediate grade dysplasia以下の確保が必要であると考えられた.その上で膵実質は温存すべきであり,それにより術後のPSを維持し糖代謝悪化を軽減することで,補助療法のfeasibilityや血糖コントロールの改善が期待できる.
索引用語 IPMN, ガイドライン