共同演者 |
羽鳥 隆(東京女子医大・消化器外科), 鈴木 修司(東京女子医大・消化器外科), 君島 映(東京女子医大・消化器外科), 大島 奈々(東京女子医大・消化器外科), 出雲 渉(東京女子医大・消化器外科), 高山 敬子(東京女子医大・消化器内科), 清水 京子(東京女子医大・消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医大・消化器内科), 古川 徹(東京女子医大統合医科学研究所), 山口 浩(東京女子医大統合医科学研究所), 清水 道夫(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター病理診断科), 山本 雅一(東京女子医大・消化器外科) |
抄録 |
【目的】Intraductal tubulopapillary neoplasm(ITPN)は2009年に山口,古川らにより提唱され2010年のWHO分類に採用された膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)やPancreatic intraepithelial neoplasia(PanIN),さらに膵管内発育を来たす膵腺房細胞腫瘍とも異なる新しい概念の膵管内腫瘍である.そこでITPNの臨床的病理学的特徴について検討した.【方法】2003~2013年2月までのITPN切除例6例(7病変)を対象に画像所見,病理所見,予後について検討した.【成績】男性2例,女性4例で,年齢は平均53.6歳であった.4例に急性膵炎歴があった.腫瘍の局在は膵頭部2例,膵体尾部2例,膵全体2例で,幽門輪温存膵頭十二指腸切除2例,膵体尾部切除2例(脾温存1),膵全摘2例(幽門輪温存1,胃全摘及び門脈切除1)であったが,膵体尾部の1例は術後1年1ヵ月で残膵(膵頭部)にも多発病変を認め,残膵全摘が施行されていた.CTでは主膵管内を充満し不均一な造影パターンを呈する結節状腫瘍として描出され,MRIではT2強調像で膵実質とほぼ等信号で,MRCPでは膵管内の陰影欠損様の低信号を示した.ERPでは主膵管のカニ爪状の途絶や陰影欠損を認めたが,粘液の貯留や排出を示唆する所見はなかった.病理所見はMUC1陽性,MUC2陰性,MUC5AC陰性で全例high-grade dysplasiaで,non-invasive 5例(多発例含む),invasive 2例(胃,十二指腸)であった.invasiveの1例が術後2年2ヵ月で腹膜播種により原癌死した以外は無再発生存中である.【結論】ITPNは急性膵炎歴を伴うことが多く,画像上,粘液貯留像を伴わない主膵管内腫瘍として描出された.すべて悪性で,non-invasiveが多いが,invasiveでは再発死亡例もあり,また,膵全体に病変が進展する可能性があるため,non-invasiveの時期に膵全摘も含めた適切な外科切除を考慮する必要がある. |