セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-診断 2

タイトル 外P-566:

膵腺房細胞癌及び肝転移巣のMDCT所見

演者 住吉 辰朗(高知医療センター・消化器外科)
共同演者 志摩 泰生(高知医療センター・消化器外科), 岡林 雄大(高知医療センター・消化器外科), 上月 章史(高知医療センター・消化器外科), 藤原 聡史(高知医療センター・消化器外科), 寺石 文則(高知医療センター・消化器外科), 尾崎 和秀(高知医療センター・消化器外科), 澁谷 祐一(高知医療センター・消化器外科), 中村 敏夫(高知医療センター・消化器外科), 福井 康雄(高知医療センター・消化器外科), 西岡 豊(高知医療センター・消化器外科), 谷木 利勝(高知医療センター・消化器外科)
抄録 目的:膵腺房細胞癌(ACC)切除例6例の原発巣,肝転移巣のMDCT所見を詳細に検討した.方法:当科で手術施行し病理組織学的にACCと確定診断された症例を6例認めた.経過観察中に肝転移を3例14病変認めた.原発巣,肝転移巣ともに全例MDCT検査を施行していた.ACC原発巣及び肝転移巣の単純CTと造影CT3相(動脈相,門脈相,遅延相)におけるCT値を測定し造影パターンを検討した.結果:腫瘍内部の出血,壊死による低吸収域を原発巣6病変中5病変に認め,肝転移巣14病変中6病変に認めた.最大径2cm以下の肝転移巣には腫瘍内低吸収域を認めず,腫瘍内部は均一に描出された.原発巣のCT値の平均値は,単純40.7 HU, 動脈相84.5 HU, 門脈相90.9 HU, 遅延相80.0HUであった.一方,肝転移巣のCT値の平均値は,単純42.3HU, 動脈相85.2HU, 門脈相89.6HU, 遅延相73.9HUであった.全病変が造影効果を認めたが,原発巣は1例において遅延相で等吸収性腫瘍として描出された以外は,全例造影3相で低吸収性腫瘍として描出された.一方,肝転移巣は動脈相では低吸収性腫瘍2病変,等吸収性腫瘍4病変,高吸収性腫瘍8病変であった.門脈相では16病変中11病変,遅延相では13病変が低吸収性腫瘍として描出された.動脈相で高吸収性腫瘍として描出された肝転移巣8病変のうち4病変はCT上,肝細胞癌に類似した造影パターンを呈した.考察:1. 直径2cm以下の小さな肝転移巣は腫瘍内部に低吸収域を認めなかった.2. 原発巣及び肝転移巣のCT値は近似しており,造影剤投与後経時的に上昇し,門脈相もしくは動脈相で最もCT値が高くなる特徴的なパターンを呈した.3. しかしながら,原発巣は造影3相全相で低吸収性腫瘍として描出される傾向にあったのに対し,肝転移巣は動脈相で57%の腫瘍が高吸収性腫瘤として描出された.これは腫瘍周囲の膵実質と肝実質の造影パターンの違いに起因すると推測された.
索引用語 膵腺房細胞癌, MDCT