セッション情報 | ポスターセッション(消化器外科学会)膵臓-診断 3 |
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タイトル | 外P-569:膵腫瘍おける術前診断の正診性の検討 |
演者 | 藤 信明(京都第二赤十字病院・外科) |
共同演者 | 松村 博臣(京都第二赤十字病院・外科), 柿原 直樹(京都第二赤十字病院・外科), 中村 吉隆(京都第二赤十字病院・外科), 坂木 桃子(京都第二赤十字病院・外科), 水谷 融(京都第二赤十字病院・外科), 井川 理(京都第二赤十字病院・外科), 谷口 弘毅(京都第二赤十字病院・外科) |
抄録 | 【はじめに】画像検査の向上にもかかわらず,膵腫瘍は術前診断の苦慮や術前診断と術後診断との相違に遭遇する.今回,当科で経験した膵腫瘍の術前診断と術後診断の相違例を検討し,文献的考察を行った.【対象と方法】2010年1月から2012年12月までに当科で施行したPD (膵頭十二指腸切除),DP (膵体尾部切除),中央膵切除などの膵切除112例のうち胆道癌17例,術前診断慢性膵炎症例6例,他臓器癌2例を除いた87例を対象とした.そのうち,術前診断で通常型膵癌が56例 (Solid群),IPMN (Intraductal papillary-mucinous neoplasm) /MCN (Mucinous cystic neoplasm) / SCN (Serous cystic neoplasm) などの嚢胞性腫瘍が28例 (Cystic群) であり,各々でretrospectiveに臨床病理学的に検討した.【結果】Solid群56例中に術前診断との相違が6例(11%)あり,慢性膵炎を3例,EC (Endocrine) tumorを3例認めた.慢性膵炎のうち2例にPD,1例にDPを施行した.EC tumorのうち2例にPD,1例に部分切除を施行した.Cystic群28例中に術前診断との相違が5例 (18%)あった.術前IPMNで術後EC tumorが1例および術後SCAが各1例,術前MCNで術後副腎嚢胞が1例,術前膵嚢胞で術後後腹膜Desmoidが1例,術前SCNで術後Teratomaが1例と,極めて多彩であった.【考察】Solid群では慢性膵炎との鑑別が重要であり,とりわけ典型像を呈さない膵炎と膵癌との鑑別は難渋した.さらに,内分泌腫瘍との鑑別は困難であった.一方,Cystic群での鑑別はSolid群に比してさらに鑑別が困難であった.双方ともに典型的な画像所見を示さない症例では特に注意を要する.また,最近FNAの有用性の報告が散見されるが,悪性の際の播種のリスクは免れない.膵腫瘍の正診性における課題は,悪性度を考慮した悪性腫瘍としての蓋然性と術式を含めた手術の妥当性の検討に集約されると考えられる.【結語】膵腫瘍の診断は細心の注意を要することはいうまでもないが,癌治療としての手術の機会を逸してはならないことも肝要である. |
索引用語 | 膵腫瘍, 術前診断 |