セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-手術治療 1

タイトル 外P-572:

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)切除症例における嚢胞径増大速度をふまえた臨床病理学的検討

演者 落合 高徳(東京医歯大・肝胆膵・総合外科)
共同演者 松村 聡(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 伴 大輔(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 入江 工(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 工藤 篤(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 中村 典明(東京医歯大・肝胆膵・総合外科), 田中 真二(東京医歯大・肝胆膵・総合外科)
抄録 【背景】膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は主膵管型,分枝膵管型,混合型といった肉眼型の違い,過形成,腺腫から浸潤癌へいたる病理組織型,また他臓器癌の合併の多いことが特徴である.また,CT,MRI,EUSといった近年の画像診断の進歩に伴い,悪性腫瘍の診断項目が明確になってきてはいるものの,さらなる指標が望まれる.
【対象】2007年6月から2013年2月の間に当科で切除したIPMN44例を対象とした.内訳は主膵管型3例,分枝型17例,混合型24例で,病理組織学的には良性腫瘍35例,上皮内癌3例,浸潤癌6例だった.
【結果】良性腫瘍と癌(上皮内癌,浸潤癌)の2群に分類し,年齢,性別,肉眼型,嚢胞径,壁在結節の有無,腫瘍マーカー(CEA,CA19-9,DUPAN-2) ,他臓器癌の合併の有無,嚢胞径の増大速度を臨床病理学的に検討した結果,年齢,分枝型の嚢胞径において統計学的有意差を認めた.嚢胞径の増大速度は,全44例中22例においてのみ診断から手術までの観察が可能であったためか,統計学的有意差を認めなかったが(p=0.08),1ヶ月あたりの嚢胞系増大率が0.5mm以上の速度で増大した症例においては,癌と良性腫瘍の間に統計学的有意差を認めた.
【結語】本検討では年齢と分枝型の腫瘍径において有意差を認めた.嚢胞径の増大速度については,症例数が限られていることもありU検定においては有意差を認めなかったものの,1ヶ月あたりの嚢胞径の0.5mm以上の増大は悪性を示唆する所見であり,十分注意して経過観察を行うことが肝要であると考えられた.
索引用語 IPMN, 手術