セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-手術治療 1

タイトル 外P-573:

慢性膵炎手術症例における術式選択の検討

演者 藤井 正彦(愛媛県立中央病院・消化器外科)
共同演者 大畠 将義(愛媛県立中央病院・消化器外科), 山本 幸司(愛媛県立中央病院・消化器外科), 原田 雅光(愛媛県立中央病院・消化器外科), 河崎 秀樹(愛媛県立中央病院・消化器外科)
抄録 【背景】慢性膵炎の治療は保存的治療や内視鏡的ドレナージ術が第一選択であるが,治療困難例や無効例に対しては外科的治療の適応となる.術式は症状改善を目的とするが,安全性と機能温存を考慮した上で膵切除や膵管ドレナージなど病態に応じた選択が必要である.今回異なった病態の4症例に対し手術を施行し良好な経過を得たので臨床的に検討し報告する.【症例1】30歳台,男性.アルコール性慢性膵炎で仮性膵嚢胞を認め,内科的治療に抵抗性.主膵管の著明な拡張を認めたが膵石はなくPartington手術を施行.【症例2】40歳台,女性.アルコール性膵炎を繰り返し膵管ステント留置は困難.膵管は拡張し膵頭部中心に膵石と多数の石灰化を認めたため,膵頭部の芯抜きとドレナージを目的にFrey手術を選択.【症例3】50歳台,男性.アルコール性膵炎で保存的治療に抵抗性.膵頭部に嵌頓した膵石のためガイドワイヤーが通過せずステント留置不可.主膵管の拡張はなかったためSSPPDを施行.【症例4】50歳台,男性.アルコール膵炎で保存的治療を繰り返していた.多量の腹水が出現し,ERCPでは主膵管が膵頭部で屈曲し同部から腹腔内へ造影剤が流出.腹水中のアミラーゼ値も高値であり膵性腹水と診断.穿刺排液を繰り返したが改善なく,膵頭部の膵石除去による減圧と膵管破綻部の切除を目的にSSPPDを施行.いずれの症例も経過良好で症状の改善を得た.【考察】慢性膵炎に対しては内科的治療が第一選択とされ,最近では膵管ステント留置の有効性が報告されている.しかし内科的治療にもかかわらず急性膵炎発作を繰り返す症例では症状改善と経過の長期化による膵機能の低下も考慮し手術の適応となる.術式は病変の部位,主膵管の拡張や膵石の有無,併存疾患や膵性腹水など症例ごとの多様な病態を考慮した選択が必要である.【結語】内科的治療が困難であった慢性膵炎の4症例に対し病態に応じた術式を選択し良好な経過を得た.内科的治療困難例では,適切な手術時期の判断と術式の選択が重要と考えられた.
索引用語 慢性膵炎, 手術治療