セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-手術治療 1

タイトル 外P-576:

腹腔鏡下膵切除術は有用な術式か-開腹術との比較-

演者 永川 裕一(東京医大・3外科)
共同演者 細川 勇一(東京医大・3外科), 土方 陽介(東京医大・3外科), 中島 哲史(東京医大・3外科), 粕谷 和彦(東京医大・3外科), 許 文艘(東京医大・3外科), 土田 明彦(東京医大・3外科)
抄録 当科では現在まで48例の腹腔鏡下膵切除(LAP-DP:30例, LAP-PD:18例)を行っており,導入時の治療成績より腹腔鏡下膵切除術の有用性について開腹時の成績と比較した.【術式】手術適応はLAP-PDでは下部胆管癌,十二指腸乳頭部癌,低悪性度・良性膵腫瘍としLAP-DPでは膵尾部癌,低悪性度・良性膵腫瘍とした.LAP-PD:摘出および胆道再建は鏡視下に行い合併症率の高い膵管空腸吻合は小切開創より行っている.視野展開のため胃切離前に総肝動脈,固有肝動脈を同定し胃十二指腸動脈,左胃動脈を結紮切離,左右肝動脈分岐部まで剥離を行い,その後門脈を露出させている.胆嚢摘出後,先に同定された右肝動脈をメルクマールに胆管を切離,SMAからの剥離操作は膵鉤部を右頭側に牽引しJV1に沿って剥離,SMA右縁を同定後,リガシュアーにて切離している.胆管空腸吻合は右側より連続縫合にて行っている.LAP-DP:内側アプローチで行うことを基本としている.脾動静脈の処理はまず糸で結紮し脈管を挙上後確実にクリップし切離する.膵切離は自動縫合器を使用している.脾温存手術でもまず内側アプローチより行い,脾静脈からの分枝は鉗子を通した後に確実にLCSもしくはクリップしている.脾門部近傍の処理は左側下方よりアプローチし膵を内頭側に牽引することで安全に遂行可能であると考えている.【成績】PDにおける手術時間はLAP-PD: 541±85分,Open-PD: 402±88分と有意にLAP-PDの方が長かったが(p=0.001),出血量はLAP-PD: 337±335ml,Open-PD:460±310ml,術後在院日数はLAP-PD: 18.9±9.3日,Open-PD: 23.2±9.6日とともにLAP-PDで少ない傾向を示した.膵癌を除くDPにおける手術時間はLAP-DP: 236±52分,Open-DP: 272±93分と差がなく,出血量はLAP-DP: 71±132ml,Open-DP:563±370ml,術後在院日数はLAP-DP:10.0±3.7日,Open-DP: 22.7±10.7日と有意(p=0.003,p=0.001)にLAP-DPで少なかった.GradeB/C膵液瘻発生はLAP-PD(2/18例;11.1%),LAP-DP(2/30例;6.6%)であった.【結語】LAP-PDは開腹と比較し手術時間を要するも安全に導入可能であった.またLAP-PD,LAP-DPともに出血量,術後在院日数が少なく低侵襲手術として有用な術式と思われた.
索引用語 腹腔鏡下膵切除術, 内視鏡下手術