セッション情報 |
ポスターセッション(消化器外科学会)
膵臓-手術治療 2
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タイトル |
外P-579:術前のWHO分類Grade予測に基づいた膵内分泌腫瘍の治療戦略
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演者 |
大原 佑介(筑波大・消化器外科DELIMITER筑波メディカルセンター病院・消化器外科) |
共同演者 |
小田 竜也(筑波大・消化器外科), 橋本 真治(筑波大・消化器外科), 明石 義正(筑波大・消化器外科), 宮本 良一(筑波大・消化器外科), 高野 恵輔(筑波大・消化器外科), 福永 潔(筑波大・消化器外科), 山本 雅由(筑波大・消化器外科DELIMITER筑波メディカルセンター病院・消化器外科), 大河内 信弘(筑波大・消化器外科) |
抄録 |
【背景】2010年のWHO分類の改訂以来,膵内分泌腫瘍はKi-67標識数と核分裂指数をもとに,病理組織学的に悪性度をGrade1(G1),Grade2(G2),Grade3(G3)の3つに分類する事が一般的になった.しかし,このWHO分類は摘出した腫瘍組織を用いて術後に診断されるため,術前の治療戦略の選択に利用する事が出来ない.我々は腫瘍径がWHO分類のGradeと相関すれば,摘出標本が無くてもGradeに基づいた最適な治療戦略を立てる事が出来ると考えた.【対象と方法】2004年から2010年にかけて当院で手術を行った非機能性膵内分泌腫瘍13例(G1:8例,G2:4例,G3:1例)を対象とし,症例の病理組織学的特徴および臨床経過についてretrospectiveに解析した. 【結果】Gradeごとの平均腫瘍径は,G1:1.6cm(0.5-2.5cm),G2:8.0cm(3.3-16cm),G3:14cmであり,Gradeは腫瘍径と有意に相関した(P=0.003).初回手術時のリンパ節転移は,G1症例では0例,G2は3例,G3症例は0例であった.術後再発に関しては,G1症例は1例(/8例)のみが再発したが(膵内転移),G2は3例(/4例),G3は1例(/1例)であった.再発は肝転移が最も多く(4例/5例),肝切除術およびエベロリムスなどの術後化学療法を施行した.【考察】非機能性膵内分泌腫瘍13例の検討において,腫瘍径が3cm未満の8症例は全てG1であり,膵内転移を来した1例を除き無再発生存していた.これらの症例は,今後は縮小手術が選択可能であるとともに,追加化学療法も不要と考えられた.一方で腫瘍径が3cm以上の腫瘍は全てG2/G3であり,初回手術時にリンパ節転移を認める事も多く,手術においてはリンパ節郭清を伴う膵切除が必要と考えられた.さらに,3cm以上の症例(すなわちG2/G3症例)は術後に肝転移などの再発が多く初回手術のみでは根治が得られない.従って,初回診断時に腫瘍径3cm以上の症例は,術前化学療法等を含めた集学的治療を積極的に検討すべきである. |
索引用語 |
膵内分泌腫瘍, WHO分類 |