セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-手術治療 2

タイトル 外P-581:

当院における膵全摘症例9例の検討

演者 藤 浩明(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科)
共同演者 本田 浩太郎(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科), 安藤 恭久(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科), 西内 綾(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科), 西野 裕人(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科), 日下部 治郎(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科), 加藤 滋(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科), 門川 佳央(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科), 待本 貴文(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科), 浅生 義人(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科), 古山 裕章(天理よろづ相談所病院・腹部一般外科)
抄録 はじめに:膵全摘術は膵癌だけでなく,慢性膵炎などの膵疾患に対しても行われてきた.1970年代には通常型膵管癌に対して膵全摘が広く行われていた経緯があるが,術後のQOLが不良であり,手術侵襲の大きさに対して生存率の改善が小さく現状では標準治療とはなっていない.一方IPMNに対しては腫瘍細胞が膵管内の広範な進展と浸潤性病変を認めていても予後が比較的良好であることから膵全摘出術が施行されることがある.膵全摘術の術後には,膵内外分泌機能の喪失により,糖尿病状態と消化吸収障害などの種々の代謝栄養障害が発生し,長期遠隔時のQOLは不良といわれれている.当院において過去5年における膵全摘症例を9例認めた.これらを集積し,原疾患,予後,栄養状態などについて検討し報告する.結果:症例は52歳~82歳,男性2人,女性6人であった.原疾患の内訳はIPMCが3例,IPMAが3例,serous cyst adenomaが1例,残膵IPMCが1例,残膵癌が1例であった.悪性所見を認めた5例のうち,周術期に心筋梗塞で死亡した1例を除く4例に関しては予後は1年3ヶ月~5年6ヶ月であった.一方その他の4例については全例無再発生存中(2年3ヶ月~4年9ヶ月)である.このうち長期生存を認めた5例につき,インスリン量,HbA1c,体重減少,膵消化酵素補充薬量,アルブミン値などにつき評価検討を行った.体重減少は1例を除く4例で認めた他,HbA1c(JDS)は5.6-7.9% でやや不良であったが血清アルブミン値やコリンエステラーゼ値などは比較的良好に保たれていた.結語:当院における膵全摘症例8例について検討を行った.QOLの低下は否めないものの薬剤の使用により比較的良好にコントロールできていた.症例によっては長期予後が見込めており,有用な術式と考えられた.
索引用語 膵全摘, IPMN