共同演者 |
森川 孝則(東北大・胃腸外科DELIMITER東北大・肝胆膵外科), 大塚 英郎(東北大・肝胆膵外科), 長尾 宗紀(東北大・胃腸外科), 田中 直樹(東北大・胃腸外科), 羽根田 祥(東北大・胃腸外科), 大沼 忍(東北大・胃腸外科), 工藤 克昌(東北大・胃腸外科), 佐々木 宏之(東北大・胃腸外科), 神山 篤史(東北大・胃腸外科), 鹿郷 昌之(東北大・胃腸外科), 小川 仁(東北大・胃腸外科), 内藤 剛(東北大・胃腸外科), 三浦 康(東北大・胃腸外科), 青木 豪(東北大・肝胆膵外科), 吉田 寛(東北大・肝胆膵外科), 元井 冬彦(東北大・肝胆膵外科), 片寄 友(東北大・肝胆膵外科), 江川 新一(東北大・肝胆膵外科), 海野 倫明(東北大・胃腸外科DELIMITER東北大・肝胆膵外科) |
抄録 |
MEN-1合併ガストリノーマではガストリノーマ以外の神経内分泌腫瘍(NET)を合併することが多いが, 症例数が多くないこともあって治療方針に一定のコンセンサスは得られていない. MEN-1合併ガストリノーマ治療の問題点を探る目的でその臨床的特徴を検討した. 【対象と方法】当科で手術を施行したMEN-1合併ガストリノーマ4例の, NETの局在, WHO2010によるgrading, 治療, 術後経過について検討した. 【結果】症例1で十二指腸に多発性ガストリノーマ(NET G2), 膵体尾部に最大17mm大の多発性の非機能性NET (G2)を, 症例2で十二指腸に多発性ガストリノーマ(G1), 膵体部に単発の非機能性NET (G1)を, 症例3では十二指腸から膵頭部に多発するガストリノーマ(G2)を認めた. 症例4では, 術前検査で十二指腸に腫瘍を認めないものの動脈内カルシウム負荷試験で膵頭十二指腸領域のガストリノーマが疑われ, 膵体尾部に最大11mm大の多発性の非機能性NET (G2)を認めた. 症例1では膵全摘, 症例2, 3で膵頭十二指腸切除が施行された. 症例4で膵体尾部切除と合併した右副腎腫瘍に対する切除術が施行され, 高悪性度の副腎癌が認められたため, これの術後補助化学療法を優先させた. 症例1は再発なく経過しているが, 症例2は他病死した. 症例3で術後1年目に残膵尾部にガストリノーマが新たに出現し, サンドスタチンで治療中である. 【結語】MEN-I合併ガストリノーマでは, ガストリノーマが十二指腸に存在し膵にNETが併存していた. 膵のNETは非機能性が多く, 多発する傾向にあり, 術後のQOLを考えれば膵全摘は避けたい. 膵全摘の適応は, 症例の年齢, 腫瘍の大きさ, 個数, gradingに基づいて慎重に決定すべきで, 膵頭十二指腸切除を施行した場合は残膵の厳密なフォローアップが重要と思われた. |