セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-手術治療 3

タイトル 外P-585:

PDにおける膵空腸再建法の工夫-完全外瘻/空腸漿膜切除+膵空腸密着吻合-

演者 岡田 克也(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科)
共同演者 宮澤 光男(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 合川 公康(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 渡邊 幸博(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 原 聖佳(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 岡本 光順(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科), 小山 勇(埼玉医大国際医療センター・包括的がんセンター消化器病センター消化器外科)
抄録 【背景】PDにおける再建法は未だ多くの議論があり,膵液瘻予防等のため各施設で様々な工夫がなされている.当科では指導医による再建法の違いがあるが,我々は完全外瘻法と膵空腸密着吻合を用いている.現在は膵管腸粘膜吻合+不完全外瘻が主流であるが,正常膵で極めて膵管が細い場合など完全外瘻法はより簡便に施行可能な手技であると考えられる.今回我々の再建手技を供覧し,その成績を報告する.【対象】2007年4月から2012年12月まで当科で施行したPD症例187例のうち,本術式を用いた73例について検討した.【手術手技】膵をメスで切離した後,膵管径に応じた節付き膵管チューブを挿入,膵管周囲の膵実質に5-0吸収糸で巾着縫合をかけ,膵管チューブの逸脱を防止するためチューブ自体にも1針通す.空腸の膵断端密着相当部の漿膜下層に生食を注入して漿膜を挙上させ,漿膜のみメスで剥離・切除する.この操作は創傷治癒過程において,より膵断端と空腸壁の接着を促進させることを目的としている.剥き出しとなった筋層の中心から膵管チューブを腸管内へ刺入,空腸側刺入部にも巾着縫合をかける.膵管周囲の巾着縫合に用いた5-0 吸収糸を空腸側にも通し,膵管と空腸粘膜が極力近接した状態にする.膵空腸密着法は,膵被膜実質と空腸漿筋層の前後壁を4-0吸収糸で約12針結節縫合する.その際膵実質には深く運針するよう心がけ,結紮は膵実質を極力損傷しないよう愛護的に行う.最後に膵空腸吻合部背側に大網の一部を敷き込み固定する.膵管チューブは空腸盲端部より体外へ抜き,約4週間後に抜去する.【結果】全73例中,ISGPF基準による膵液瘻はGrade;A13例(17.8%),B7例(9.5%),C0例であった.また術後膵管チューブが閉塞した症例は認めなかったが,遅発性に膵管開存性の低下により仮性膵嚢胞を形成した症例を1例のみ認めた.【まとめ】本再建手技は比較的容易に施行可能な上,重篤な合併症も少なく良好な成績を得られていると考えられる.
索引用語 膵頭十二指腸切除, 完全外瘻