セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-手術治療 4

タイトル 外P-591:

浸潤性IPMNの術前診断による縮小手術の適応検討

演者 新関 亮(神戸大・肝胆膵外科)
共同演者 松本 逸平(神戸大・肝胆膵外科), 石田 潤(神戸大・肝胆膵外科), 山下 博成(神戸大・肝胆膵外科), 白川 幸代(神戸大・肝胆膵外科), 田中 正樹(神戸大・肝胆膵外科), 後藤 直大(神戸大・肝胆膵外科), 田中 基文(神戸大・肝胆膵外科), 武部 敦志(神戸大・肝胆膵外科), 浅利 貞毅(神戸大・肝胆膵外科), 岡崎 太郎(神戸大・肝胆膵外科), 木戸 正浩(神戸大・肝胆膵外科), 味木 徹夫(神戸大・肝胆膵外科), 福本 巧(神戸大・肝胆膵外科), 具 英成(神戸大・肝胆膵外科)
抄録 【背景・目的】IPMNは正確な術前診断と手術によって良好な予後が期待できる.国際診療ガイドラインでリンパ節郭清を伴う膵切除術が標準治療であることが示されたが,上皮内癌やT1a(浸潤≦0.5cm)浸潤癌ではリンパ節転移を認めず,縮小手術が可能であるとの報告も多い.IPMN切除例から縮小手術の適応を検討した.【対象・方法】対象は当院で切除したIPMN88例.病理診断をもとに,腺腫から非浸潤癌・T1a浸潤癌までの群とT1b以上の浸潤癌の群に分けて検討した.さらにこれらを主膵管型,分枝型に分けて検討した.【結果】腺腫44例,非浸潤癌17例,T1a浸潤癌11例,T1b以上の浸潤癌16例であり,非浸潤癌,T1a浸潤癌まで浸潤癌にリンパ節転移は認めなかった.主膵管型IPMNにおけるT1b以上の浸潤癌の予測因子として,A) 画像による浸潤所見,B) 10mm以上の壁在結節,C) 10mm以上の主膵管拡張,D) CA19-9高値が有意な因子であった.分枝型IPMNにおけるT1b以上の浸潤癌の予測因子として,A) B) D)とE) CEA高値が有意な因子であった.主膵管型IPMNではA) B) C) D) のいずれか,分枝型IPMNではA) B) D) E)のいずれかを認める症例をT1b以上の浸潤癌疑いとして検定したところ,感度,陰性的中率ともに100%であった.【考察】上皮内癌,T1a浸潤癌症例ではリンパ節転移は認めなかった.MDCTやEUSを用いた形態診断と腫瘍マーカーの組み合わせによりT1b以上の浸潤性IPMNの術前診断は高い精度で可能であり,T1b以上の浸潤癌の見落としは認めなかった.術前に浸潤癌と診断した症例では高率にリンパ節転移を認めるため,膵切除と共に確実なリンパ節郭清を必要である一方で,術前にT1a浸潤癌までと診断した症例では腹腔鏡下膵切除術,脾動静脈温存尾側膵切除術や膵中央切除術などの系統的リンパ節郭清を伴わない縮小手術が適応可能であると考えられた.
索引用語 IPMN, 縮小手術