セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-術後合併症 1

タイトル 外P-595:

膵頭十二指腸切除術における術後のロストステントの動態

演者 奈賀 卓司(国立米子医療センター・外科)
共同演者 山本 修(国立米子医療センター・外科), 久光 和則(国立米子医療センター・外科), 杉谷 篤(国立米子医療センター・外科), 浜副 隆一(国立米子医療センター・外科), 渡邉 淨司(鳥取大・病態制御外科), 坂本 照尚(鳥取大・病態制御外科), 池口 正英(鳥取大・病態制御外科)
抄録 【目的】膵頭十二指腸切除における膵空腸吻合部には,外瘻とする方法やロストステントを挿入する方法がある.今回われられは,術後のロストステントの動態や,ロストステントとした場合の不完全外瘻との比較,検討を行ったので報告する.【対象と方法】対象は, 2010年から2012年までに,膵空腸吻合部にロストステントを使用した40例である.再建は全例child変法再建を行った.膵管空腸粘膜吻合は5-0 PDS-IIを使用し,ロストステントは5Frまたは6Frの膵管tubeを3cmに切離し(節なしとする), tubeのほぼ中央で後壁の吻合糸を使用し結紮固定した.膵空腸吻合は密着吻合を行った.術後の腹部CT検査にてロストステントの位置を確認した.また2006年から2010年に行った不完全外瘻症例37例と比較検討した.【結果】ロストステントの遺残率は,術3ヶ月後で58% (吻合部14例,小腸5例,膵内迷入4例),術6ヶ月後で18% (吻合部3例,膵内迷入4例),術1年後で8% (膵内迷入3例) であった.膵管の拡張症例(3mm以上)では63%の症例が遺残していたが,非拡張症例では35%の遺残であった (術3ヶ月後).膵内迷入は膵管拡張例が2例,非拡張例が2例であった.術3ヶ月後は半数以上が遺残しているが,半年後には多くの例でロストしていた.膵内に迷入した症例は1年後も同じ位置に迷入したままであった(1例死亡例).膵内に迷入した症例ではいずれも現在までに膵炎などの症状は起こしていない.膵液瘻の発生については,ロストステント群29%, 不完全外瘻群28%と差はみられなかった.膵液瘻を起こさなかった場合の術後平均在院日数は,ロストステント群が 20日,不完全外瘻群は30日で有意に短かった.【結語】ロストステントは半年後までにはほぼロストされるが,膵内に迷入した場合には遺残し続けるので,膵炎発症などの報告もあり注意が必要である.不完全外瘻に比し,膵液瘻の発生に差はないが,術後在院日数が短縮し,有用であると考えられた.
索引用語 膵頭十二指腸切除術, ロストステント