セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-術後合併症 1

タイトル 外P-596:

当科で施行した膵全摘術症例の周術期合併症と長期栄養評価

演者 川井田 博充(山梨大附属病院・1外科)
共同演者 河野 寛(山梨大附属病院・1外科), 渡辺 光章(山梨大附属病院・1外科), 牧 章(山梨大附属病院・1外科), 雨宮 秀武(山梨大附属病院・1外科), 松田 政徳(山梨大附属病院・1外科), 板倉 淳(山梨大附属病院・1外科), 藤井 秀樹(山梨大附属病院・1外科)
抄録 近年手術手技の進歩や周術期管理の発達により膵全摘術は比較的安全に行われるようになっている.主膵管型IPMNのように長期生存が可能な症例も適応であり,血糖コントロールとともに栄養管理も必要であり,今回検討を行った.【対象】2004年から2013年2月までに当科で施行した10例の周術期ついて検討し,このうち2年以上の経過観察可能であった5例に対し血糖コントロールの評価と栄養評価を行った.血糖の評価はインスリン使用量とHbA1cを,栄養評価はBMI,アルブミン,総コレステロールを用いた.また,肝脂肪沈着の評価として腹部単純CTでの肝臓・脾臓CT値(L/S ratio)を測定した.【結果】疾患は膵癌5例,IPMN5例,平均手術時間は551分,平均出血量は1222ml,Morbidityは20%でいずれもThe Clavian-Dindo Classification of Surgical ComplicationsでgradeII,Mortalityは0%,平均在院日数は33.1日だった.インスリン使用量は平均値で退院直後,術後1年,術後2年で23.6,30.6,33.2単位と徐々に増加していたがHbA1cは8.4,8.0,7.6%と改善傾向にあった.栄養及び肝脂肪沈着の評価は術前,術後1年,2年で行い,各平均値はBMI20.1,19.5,20.4kg/m2,アルブミンは4.1,4.0,4,0g/dl,総コレステロールは156.2,153.5,158mg/dlと低下を認めなかった.L/S ratioは1.28,1.37,1.32と脂肪沈着の悪化は認めなかった.また,全症例で膵酵素補充療法が行われていた.1例に下痢を認め,4例に低血糖発作を認めた.【結語】膵全摘術による致命的な合併症は認めなかった.栄養状態も良好に維持されていた.血糖管理は改善されているが,低血糖発作をおこしやすく,今後の課題である.
索引用語 膵全摘術, 栄養評価