セッション情報 ポスターセッション(消化器外科学会)

膵臓-術後合併症 1

タイトル 外P-597:

術後膵液瘻の治療に関する検討

演者 黒崎 亮(前橋赤十字病院・外科)
共同演者 冨澤 直樹(前橋赤十字病院・外科), 荒川 和久(前橋赤十字病院・外科), 小林 克己(前橋赤十字病院・外科), 室谷 研(前橋赤十字病院・外科), 佐藤 弘晃(前橋赤十字病院・外科), 須藤 雄仁(前橋赤十字病院・外科), 加藤 隆二(前橋赤十字病院・外科), 荻野 里美(前橋赤十字病院・外科), 白石 卓也(前橋赤十字病院・外科), 安藤 立正(前橋赤十字病院・外科), 竹吉 泉(群馬大大学院・臓器病態外科学)
抄録 【背景】膵切除や膵周囲リンパ節郭清の術後合併症である膵液瘻の発症は,手術手技や術後管理の進歩により減少してきているが,一定の割合で発症してしまうのは避けられない.また,消化器外科の術後合併症の中では,治療に難渋することが多く,入院期間の長期化や術後在院死の原因となっている.術後膵液瘻の早期治癒に向けた全身管理とドレーン管理についての検討を行った.【方法】2009年から2012年までに当院外科にて経験した膵液瘻患者38人を対象とした.ドレーン排液のアミラーゼが高値(血清値の3倍以上)で,感染や混濁によりドレーンを早期に抜去できなかった症例を膵液瘻とした.【結果】術式は,膵頭十二指腸切除症例20例,膵尾側切除17例,膵周囲リンパ節郭清後1例で,疾患は膵癌10例,胆管癌12例,乳頭部癌2例,胃癌7例,他7例であった.膵液瘻に関連したと考えられる死亡例は2例であった.すべての症例でドレナージを行っており,治癒した症例では,ドレーン排液量の消失,瘻孔造影による瘻孔の一本化・膿瘍腔の消失,炎症の軽減をもってドレーンの抜去を行っていた.2例ではドレーン抜去後に膵液が貯留し,再ドレナージとなった.ドレーン排液アミラーゼ値が低値の症例,当初から排液が少ないものは,早期に治癒する傾向を認めた.栄養管理については,半数の症例で経口摂取を停止していたが,残りの半数は経口摂取を継続していた.膵頭十二指腸切除では,ほとんどの症例で経腸栄養を行っており,縫合不全を認めても経腸栄養を継続していた.18例でサンドスタチンを使用していたが,他は使用せずに治癒していた.【考察】膵液瘻のドレーン管理では,排液の消失,膿瘍腔の消失,炎症の消失をもって抜去することが必要である.経口摂取の停止やサンドスタチンの使用は,必ずしも必須ではなく,早期治癒に寄与しているかどうかはさらなる検討が必要である.
索引用語 膵液瘻, 膵手術